池谷・張彗星
C/2002 C1(Ikeya-Zhang)

星ナビ2002年5月号 表紙

月刊星ナビ2002年5月号では、池谷・張彗星の見え方の図や観望ガイドなどを紹介している。また、発見者の池谷薫さんへのインタビュー記事も掲載。

ギャラリーの更新日:2002年5月28日
軌道要素の更新日:2002年5月27日

池谷・張彗星について

2002年2月1日、静岡県の池谷薫(いけや・かおる)さんと中国の張大慶(チャン・ターチン)さんが新彗星を発見しました。発見時の位置はくじら座の尾のあたりで、およそ9等級の明るさでした。この彗星にはC/2002 C1の認識符号が与えられ、発見者のお二人の名前をとって「池谷・張(イケヤ・チャン)彗星」と呼ばれることになりました。池谷さんは過去に「池谷・関彗星(C/1965 S1)」など5個の彗星を発見されている世界的に有名なコメットハンターです。今回の発見は1967年の「池谷・関彗星(C/1967 Y1)」以来のこととなります。

この彗星は今後北上し、3月はじめにうお座に、その後アンドロメダ座,カシオペヤ座へと移動していきます。明るさは3月末から4月はじめに4等級くらいになると予想されています。4月上旬〜中旬までは日没後の西の低空に、中旬以降は夜明け前の東の低空に見えます。また、4月下旬には赤緯が+60度をこえて周極星となります。

その後の軌道要素の計算により、この彗星は370年ほどの周期をもつ彗星であることがわかりました。どうやらC/1661 C1と同じ彗星のようです。また、877年2月に見られた彗星との同定も指摘されています。

池谷薫さんの人物写真 池谷さんと自作25cm反射望遠鏡

池谷 薫(いけや・かおる)
1943年、静岡県生まれ。
1962年より本格的に彗星捜索を始め、翌1963年に自身初となる池谷彗星(C/1963 A1)を発見する。以後5年連続で5個の新彗星を発見するという偉業を達成。今回の発見は1967年の池谷・関彗星(C/1967 Y1)以来、実に35年ぶりのこととなる。この間、1980年代には2個の超新星も発見。
ご自宅そばの研究所で望遠鏡の鏡面を研磨するお仕事をされながら、現在も晴れた日には自作の25cm反射経緯台を用いて1回1〜2時間ほどのペースで彗星捜索をおこなっている。

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軌道要素

アストロアーツダウンロードサービスのページより、ステラナビゲータVer.5ステラプレイヤーでご利用いただける最新軌道要素がダウンロード可能です。ぜひご利用ください。

なお、ダウンロードデータの軌道要素とこのページで公開している軌道要素は必ずしも一致しません(このページのほうが常に最新です)が、ダウンロードデータの軌道要素でも位置の違いはほとんどありません。

池谷・張彗星の軌道要素(提供:村岡健治氏)
近日点通過2002年3月18.98287日
近日点距離0.5070841AU
離心率0.9901863
近日点引数34.67150度(J2000.0)
昇交点黄経93.37010度(J2000.0)
軌道傾斜角28.12196度(J2000.0)
元期2002年6月15.0日
標準光度7.0等
光度係数9.0
周期371年

より詳しい軌道要素はこちら

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星図

日本時間0時の位置(恒星は6.5等星まで表示。クリックで拡大)

(星図)

尾の見え方を示した図(サイズ 92KB。なお、尾は伸びている方向を示したもので、長さや形状は実際とは異なります)

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位置推算表

日本時間0時における位置(2000.0年分点)
月日赤経赤緯等級太陽離角
6/1 15h44.4m+19°39'7.9136.7°E
6/3 15h40.8m+17°48'8.1137.3°E
6/5 15h37.6m+16°04'8.3137.6°E
6/7 15h34.8m+14°26'8.4137.7°E
6/9 15h32.4m+12°55'8.6137.5°E
6/1115h30.3m+11°29'8.8137.1°E
6/1315h28.5m+10°08'8.9136.5°E
6/1515h27.0m+08°52'9.1135.8°E
6/1715h25.7m+07°40'9.2135.0°E
6/1915h24.6m+06°33'9.4134.0°E
6/2115h23.7m+05°29'9.5132.9°E
6/2315h23.1m+04°28'9.7131.8°E
6/2515h22.5m+03°31'9.8130.6°E

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ステラプレイヤーでシミュレーション

ステラプレイヤーによるシミュレーションのサンプル画面

ステラプレイヤーを使うと、日没後や日出前に池谷・張彗星がどの位置に見えるのかをシミュレートすることができます。詳しくは「ステラプレイヤーサンプル・池谷・張彗星」のページをご覧ください。
ステラプレイヤーをご利用いただくためにはWindowsマシンが必要です。なお、ステラプレイヤーはフリーソフトなので、無料でご利用いただけます

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天文ニュースへのリンク

アストロアーツ天文ニュースから、池谷・張彗星関連のニュースを抜粋しました。

2002/05/07 - 1661年の池谷・張彗星、日本での観測記録を発見(NAOニュース)
渡辺美和(わたなべよしかず、日本流星研究会)氏により、日本でも1661年に観測されていた記録が見つかる
2002/04/04 - 池谷・張彗星特集ページ、内容さらに充実!ギャラリーも大盛況
この特集ページの案内。星ナビやステラプレイヤーの紹介も
2002/03/04 - 池谷・張彗星は、877年にも出現していた?
池谷・張彗星はC/1661 C1の再来、877年の記録も見つかる
2002/02/28 - 池谷・張彗星は1661年の彗星の再来か (NAOニュース)
池谷・張彗星が1661年に見られた彗星C/1661 C1の再来である可能性を示唆
2002/02/25 - 池谷・張彗星」特集ページ・ギャラリー オープン
画像募集の告知、写真1枚
2002/02/08 - 夕空の池谷・張彗星(C/2002 C1)を捉えた
投稿写真3枚
02/14:149個の観測による軌道要素、写真3枚追加
02/18:写真2枚追加
2002/02/07 - 池谷・張彗星が4等級に (NAOニュース)
国立天文台発表のニュース。明るさ予想など
2002/02/05 - 池谷・張彗星の軌道要素(改良版)
2月中の彗星の見え方、詳細星図、位置推算表
2002/02/04 - 池谷さん、明るい新彗星を発見 (NAOニュース)
国立天文台発表のニュース。新彗星発見の速報

また、星ナビ.comの「デジカメ探検隊がゆく!」のコーナーでは、デジカメで撮影された作品をまとめて紹介しています。こちらもあわせてご覧下さい。

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