おおかみ座に8等の新星が出現

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6月12日、おおかみ座に約8等級の新天体が出現した。南アフリカ天文台の反保雄介さんによる分光観測から、古典新星であることが判明している。

【2025年6月16日 高橋進さん/Transient Name Server 6月18日更新

超新星サーベイを行っているASAS-SN(All-Sky Automated Survey for Supernovae)のグループによると、6月12日20時52分(世界時。日本時では13日5時52分)におおかみ座の西部に8.7等(G等級)の新天体が出現しました。ASAS-SNによる11日17時45分(世界時。日本時では12日2時45分)の観測ではこの位置には16.9等以上の天体は見られず、12日に増光を起こしたものと思われます。

新星の位置
新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

この報を受けて南アフリカ天文台の反保雄介さんが口径1.9m望遠鏡で分光観測を行ったところ、P Cygプロファイルを持つHe I線とFe II線が検出され、Hα線とHβ線にはそれぞれ1200km/sと900km/sの青方偏移が見られました。このことから、この新天体は古典新星であることが明らかになりました。

新星のスペクトル
新星のスペクトル。画像クリックで表示拡大(提供:反保さん

反保さんによる新星の分光観測は5日に出現したかじき座新星に続いてのもので、恒星天文学の発展に貢献するものです。


(※6月18日更新分)その後の観測では新星の光度は日ごとに明るくなってきており、6月17日の広沢憲治さんの観測では6.07等にまで明るくなっています。このままいけば肉眼新星になる可能性も高いです。おおかみ座ということで、本州付近でも南中高度が15度ほどにしかなりませんが、久 しぶりの明るい新星ですので、チャンスがあればぜひ観測してみてはいかがでしょうか。

新星の光度曲線
新星の光度曲線(ATel、CBAT、VSOLJの報告から高橋さん作成)

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