観測で初の裏付け、生まれたての惑星たちはふわふわ

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若い恒星を公転する系外惑星の質量が正確に測定され、低密度で膨らんだ状態であることがわかった。誕生直後の惑星は低密度で膨らんでいるという理論を裏付ける結果だ。

【2026年1月14日 アストロバイオロジーセンター

系外惑星は現時点で6000個以上発見されている。最も多く見つかっているのは、大きさが地球の1~2倍の「スーパーアース」や、海王星よりやや小さい(地球の2~4倍の)「サブネプチューン」と呼ばれる小型の惑星だ。こうした小型惑星は天の川銀河の中で最もありふれた惑星といえるが、誕生直後の時代にどのような姿をしているのかについては、これまでわかっていなかった。

スーパーアースとサブネプチューンの想像図
太陽に似た主星を持つ、(上)スーパーアースと(下)サブネプチューンの想像図(提供:(上)NASA, ESA, CSA, Ralf Crawford (STScI)、(下)NASA, ESA, CSA, Dani Player (STScI)

地球から約350光年の距離にある「おうし座V1298」は、質量が太陽の1.1倍、年齢が約2000万歳という、誕生して間もない太陽に似た恒星だ。2015年にNASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」の観測で、この星の周囲に4個の若い惑星(おうし座V1298 b,c,d,e)が見つかっている。

この4個の惑星の質量は、これまで「視線速度法」で求められていたが、あまり正確な値ではないことが指摘されていた。視線速度法では、公転する惑星の重力で主星がわずかに揺れ動く周期的な「ぶれ」を検出して、惑星の質量を求める。主星のぶれを検出するには、主星のスペクトルに見られる吸収線の波長が、ドップラー効果で本来の値からずれる現象をとらえる。

しかし、若い恒星では表面での磁場活動が活発なため、黒点がしばしば現れる。黒点の部分は周囲よりも低温で対流が弱くなっているために、主星のスペクトルを観測すると、こうした対流速度の「むら」が主星の揺れ動きのドップラー効果に混ざってしまい、主星の速度の測定値に大きな誤差が乗ってしまうのだ。

そこで、国立天文台/アストロバイオロジーセンターのJohn Livingstonさんたちの研究チームは、視線速度法に代わる惑星質量の決定方法として、恒星表面の活動にあまり影響されない「トランジットタイミング変動(Transit Timing Variation; TTV)法」を採用した。

複数の惑星が公転する惑星系では、惑星同士が近づいた際に互いの引力で影響を及ぼし合う「摂動」が生じるため、惑星が主星の手前を通過する「トランジット」のタイミングが一定の公転周期からわずかにずれる。このずれを調べることで、引力を及ぼす惑星の質量を推定するのがTTV法だ。

研究チームは、2015年にケプラーで得られていたトランジットのデータに加えて、2019年から2024年にかけて、宇宙望遠鏡と地上望遠鏡で長期的なトランジットの追観測を行った。地上望遠鏡では、4つの惑星で計44回のトランジットがとらえられた。これらのデータをもとに、トランジットのタイミングの変動が詳細に解析された。

おうし座V1298星系のトランジットタイミング変動
おうし座V1298星系の4つの惑星(b,c,d,e)のトランジットタイミング変動(一定の公転周期からのずれ)。横軸が時刻(単位は日)、縦軸は一定の公転周期からのずれの量(単位は分)を表す。青色の点が観測で得られたデータ。灰色の線は、惑星の質量などの誤差を考慮して想定される、トランジットタイミングのずれ量の理論的なモデル(提供:J. Livingston et al.に掲載の図1を改変)

解析の結果、4個の惑星は半径が地球の5~10倍と巨大惑星並みの大きさでありながら、質量は地球の5~15倍で、スーパーアースやサブネプチューンくらいの質量しかないことがわかった。惑星の質量は、密度が同じなら半径の3乗に比例するので、仮に密度が地球と同じで半径が地球の10倍なら、質量は地球の1000倍になるはずだ。つまり、この4個の惑星は非常に低密度の“ふわふわ”の惑星だということになる。言い換えれば、生まれたばかりの巨大惑星のように見えていたのは、実際には将来スーパーアースやサブネプチューンになるような、比較的小さな質量の惑星たちだったというわけだ。

4つの系外惑星の想像図
公転する4つの系外惑星の想像図。ふわふわの大気が主星からの放射を受け、宇宙空間に流出しているかもしれない(提供:アストロバイオロジーセンター)

今回、生まれたての惑星の質量と半径の値が正確に得られたことで、天の川銀河で最も一般的な惑星である小型惑星は、誕生直後には低密度であることが明らかになった。これによって、「若い惑星は大きく膨らんでいて非常に低密度である」という従来の理論的な仮説が、初めて観測的に裏付けられた。

この4つの惑星は、主星からの放射を受けて大気の一部が宇宙空間に流出し、次第に質量を失って半径が収縮していく途中の段階にあると考えられる。現在、NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がこの4惑星の大気観測を進めている。今後、大気の組成や流出割合などの知見が得られると期待される。

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