超大型望遠鏡TMT、いよいよ建設開始

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日本、アメリカ、中国、インド、カナダの5か国共同で計画され、2022年からの本格運用を目指す超大型望遠鏡「TMT」の建設が米・ハワイ島で始まった。

【2014年10月10日 国立天文台 TMT推進室

「TMT」(Thirty-Meter Telescope:30m望遠鏡)が建設される米・ハワイ島マウナケア山頂域で、8日朝7時(日本時間、以下同)から起工式が行われた。地元祭司による伝統的な儀式とハワイ州知事ら来賓による祝辞が行われる予定になっていたが、祈祷が終わったところでTMT建設反対派が抗議を始めたため、式は中断された。参加者らは下山後、島西部の祝賀会会場に移動して儀式を再開し、起工式を完了した。建設地での最初の工事は9月17日に既に開始されており、今後の工事も予定通り進められるという。

TMTは、1.44m径の分割鏡を492枚組み合わせた30mの主鏡が直径66m、高さ56mのドームに収まった構造となる。費用と開発製作は参加国の分担で、日本は約1500億円の建設費のうち25%を負担している。製作については、すばる望遠鏡で培った経験と技術を活かして主鏡材などの重要な部分を担っており、すでに今年度から鏡材の製作研磨が進められている。

完成予定は2021年度で、東京から大阪の1円玉が見えるほどの解像度、そして月の距離にある蛍を1時間の露出で撮像できる高感度での可視光・赤外線観測が行われる。広視野のすばる望遠鏡がピックアップした対象をTMTで詳細に調査するという協力体制で、系外惑星の直接撮像や遠方の超新星の検出、高精度な距離測定に基づく宇宙膨張の直接測定などの研究成果が期待されている。

マウナケア山頂域とTMT建設地
マウナケア山頂域とTMT建設地(提供:国立天文台)

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