板垣さん、いて座に新星を発見

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10月20日、山形県の板垣公一さんが、いて座に約11等級の新星を発見した。

【2016年10月25日 VSOLJニュースCBAT

著者:前原裕之さん(国立天文台)

夕方暗くなったころ、晴れていれば南西の空にはひときわ明るく輝く金星が見え、金星から東側に少し離れたところには赤く輝く火星が見えています。金星と火星の中間あたりのいて座の中に新たな新星が発見されました。新星を発見したのは山形県の板垣公一(いたがきこういち)さんです。

板垣さんは10月20.383日(世界時、以下同様、日本時間18時30分ごろ)に、焦点距離180mmのレンズとCCDカメラでいて座付近を撮影した画像から10.7等の新天体を発見しました。板垣さんの観測によると、この天体の位置は以下のとおりです。

赤経  18h10m28.29s
赤緯 -27°29′59.0″ (2000年分点)

いて座の新星
いて座の新星の発見画像(撮影:板垣さん)

この天体は千葉県の清田誠一郎さんによって確認観測が行われた他、群馬県の小嶋正さんが20.391日に撮影した捜索画像にも10.5等で写っていたことが報告されました。

天体の分光観測は西オーストラリア大学のPaul Luckasさんによって発見直後の20.4日に行われ、スペクトルにP Cygniプロファイルを示す水素のバルマー系列および1階電離した鉄の輝線が見られることから、この天体が古典新星であることがわかりました。

23日の板垣さん、福岡県の高尾明さん、新潟県の佐藤嘉恭さんなどの観測によると、この新星は発見された20日よりも明るい8等まで増光したことがわかりました。西の空低く観測条件はあまり良くありませんが、今後の明るさの変化が注目されます。

いて座の新星の位置
いて座の新星の位置。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」で表示)


なお、板垣さんは前日19日にも、アンドロメダ座に矮新星を発見しています。

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