- 万葉舎 刊
- 21.4×15cm、331ページ
- 2014年2月
- ISBN 9784-86050-072-6
本書を尋ね求めて、大手町と多摩センターのM書店、神田のS書店、新宿のK書店、池袋のJ書店とL書店、八王子と横浜のY書店、そして肝心の国立天文台の売店を訪れたがどこも在庫無し。遂に新宿のF書店の書棚で感激のご対面。大げさではなく顔面には涙が…。完読に三日を費やした。メモを取りまくったからである。
星の神話といええば、ほとんど野尻抱影流のギリシャ神話しか我が国では紹介されてこなかった。実はそれこそが、本書を都内全域に探し求めた一番の理由である。かつて一度、ビルマ(現ミャンマー)の星座神話を読んだことがあったが、それ以外はきわめて断片的だった。本書は、各国の専門家軍団が分担執筆したものだけに、バイブルである。なおかつ、学校やプラネタリウムでの活動で使ってもらえるように、平易に語りかけるような口調の文体である。
星座神話研究者にとっては、約60ページにわたる解説がものすごく役立つはずだ。特に筆者にとっては、日本ではほとんど接する機会のないヒンドゥー教に関する解説が勉強になった。ギリシャ星座神話の世界観が全てではないのだ。人間は想像の翼を広げて、民族の世界観の違いによってさまざまな星座神話を創ってきたのだと実感できる、素晴らしい本である。