X線天文衛星「あすか」、3月2日ごろ大気圏再突入へ
【2001年3月1日 アストロアーツ】
太陽活動の影響で2000年夏から観測不能になっていた文部科学省宇宙科学研究所 (宇宙研/ISAS) とNASAの共同によるX線天文衛星「あすか (ASTRO-D/ASCA)」が3月2日にも大気圏に再突入し、その生涯を終える見込みだ。「あすか」は2001年2月20日に打ち上げから満8年を迎えたばかり。
「あすか」の推定再突入日時は、LATの予報 (2.27発表) によると、3月02日午後00時26分 (日本時間)。また、Alan Pickup氏の予報 (2.28発表) によると、3月02日午前9時29分±9時間 (日本時間)。
「あすか」は1993年2月20日に宇宙科学研究所のM-3SIIロケット・7号機によって打ち上げられ、2000年7月に観測不能に陥るまでの7年半 (設計寿命のほぼ倍) にわたり世界の天文学者たちから利用され観測を続けてきた。得られた科学的成果は、ブラックホール近傍での物質の流れや宇宙のX線背景放射の解明、中間質量ブラックホールの発見など多数。
X線天文衛星は、いわば日本のお家芸。1979年に日本初のX線天文衛星「はくちょう」(1985年大気圏再突入) が打ち上げられ、以後「てんま」(1983年〜1989年)、「ぎんが」(1987年〜1991年)、そして「あすか」(1993年〜) と続き、いずれもX線天文学の最前線で活躍してきた。だが、5番目のX線天文衛星となるはずだった「アストロE」は2000年2月に打ち上げ失敗、大気圏に再突入して失われてしまった。
宇宙研では、「アストロE」を再製作し、2004年ごろ改めて打ち上げることを目指している。日本のX線天文学者たちは、それまでの空白期間については、「あすか」により得られたデータを徹底分析したり、NASAの「チャンドラ」やヨーロッパ宇宙機間 (ESA) の「XMM-ニュートン」などの外国のX線天文衛星を用いた観測を行うことになる。
<参照>
- X線天文衛星「あすか」の現状について (宇宙研, 2001.02.27)
-
LAT本部ホームページ
- 大気圏再突入が近い人工天体 (2001.2.27)
-
Alan Pickup's SatEvo Page (英文)
- Current Satellite Decay Watch Notices (2001.2.28)
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- 2000.09.13 - [チャンドラ] 京大助手ら、中間質量ブラックホールを発見
- 2000.07.25 - X線天文衛星「あすか」が観測停止
- 2000.07.07 - 打ち上げ失敗の「アストロE」再製作へ
- 2000.02.10 - アストロE、打ち上げ失敗
- 1999.05.13 - 中間質量のブラックホール
- 1999.04.13 - ミドルサイズのブラックホール発見
- 1998.02.26 - 宇宙X線背景放射の正体を解明