Pereira と Liller、いて座に明るい新星を発見
【2001年9月11日 VSOLJ ニュース (073) (2001.09.07)】
IAUC No. 7706 によれば、ポルトガルの A. Pereira とチリの W. Liller がいて座に明るい新星を独立発見しました。Pereira の発見は V4739 Sgr (Nova Sgr 2001No. 2; VSOLJニュース 71,72参照) と同様に眼視によるもので、9月 5.846日 (UT)に 7.0等でした。Liller の発見は写真によるもので、9月 3.979日 (UT) にオレンジフィルターを用いた写真に10.0等で写っていたとのことです。この観測から、この新星は 9月 3日と 5日のわずかな間に急激に光を増したことがわかります。
プリズムを用いたスペクトル観測から、水素の輝線があるらしいことが Lillerから報告されており、新星または類似の爆発型天体にほぼ間違いないものと思われます。現在は Nova Sgr 2001 No. 3 (日本語では、たとえばいて座2001年第3新星などの呼称が用いられます)と呼ばれていますが、近々正式な最終名称が与えられるでしょう。
報告者によってまだ少し異なりますが、次の位置が報告されています(いずれも2000年分点)。
18h 11m 45.82s, -30o 30' 49.9"(W. Liller) 18 11 46.01, -30 30 50.9 (A. Hale)
詳細なスペクトルがまだ得られていないこと、爆発前の星が十分に同定されていないことから、今後の減光の様子を推測することは難しいですが、水素の輝線がすでにかなり明瞭に現れているらしいことから、極大付近、あるいは極大を少し過ぎた可能性があります。CarvajalからVSNETに報告された観測では、6.875日 (UT) にもまだ 6.8等であったことから、減光は比較的ゆっくりしているのかも知れません。いずれにしても、しばらくの間は強力な双眼鏡か小型望遠鏡でも十分に見える光度を保っているものと思われます。
観測用星図などは、VSNETのホームページでも公開されています。今後新しい観測結果なども提供される予定です。
著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp
<参照>
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