惑星状星雲へと進化しつつある星を VLA がとらえた
【2001年11月29日 NRAO Press Release】
NRAO(アメリカ国立電波天文台)の VLA(超大型電波干渉計)を使って撮影された、まさに今、惑星状星雲へと進化しつつある星の画像が公開された。恒星の進化を探る上で重要な研究へとつながりそうである。
この研究をおこなった Yolanda Gomez によると、この星が惑星状星雲への進化を始めたのは 1984 年以降とごく最近のことだ。太陽のような恒星は、その一生を終える時、自分自身の重力で収縮して白色矮星になり始める前にガスを周囲に放出する。また、重力収縮によって星は熱くなり、紫外線を放つようになる。この紫外線が先に放出されたガスの中の分子をばらばらにし、原子から電子をはぎ取る。こうしてガスが輝き、様々な形状で美しく光って見えるのだ。
星が高温になって大量の紫外線を放つようになると、ガスの中の分子はどんどん壊れるようになる。今回観測されたのは惑星状星雲中の水分子から発せられている電波だ。水分子は惑星状星雲への進化が始まってから 100 年以内に壊れてしまうと考えられており、その意味で今回の観測は貴重な結果をもたらしてくれた。惑星状星雲中に水が見つかったのは初めてのことである。
この惑星状星雲は K3-35 と呼ばれる天体で、地球から 16,000 光年離れたこぎつね座にある。他の惑星状星雲と同様、中心の周りのドーナッツ状のリング構造と流出する物質からなるローブ(突出したところ)がある。