リニア彗星(C/2000 WM1)が夕方の西空で肉眼彗星に

【2001年12月4日 アストロアーツ】

(11 月 15 日に撮影されたリニア彗星 C/2000 WM1 の写真)

今年 11 月 15 日に撮影されたリニア彗星 C/2000 WM1。現在はさらに明るくなっている。クリックで拡大(写真提供:田中一幸さん)

リニア彗星 C/2000 WM1 が夕方の西空で見ごろになっている。

この彗星はおよそ 1 年前の 2000 年 11 月 16 日、アメリカのリンカーン観測所チームが地球から 5 天文単位の彼方で発見した彗星で、現在は 5 等級の明るさまで順調に増光している。

リニア(LINEAR)とはアメリカにあるリンカーン研究所の地球接近小惑星プロジェクトのことで、言ってみれば小惑星や彗星探しのプロ集団みたいなものだ。近年発見される新彗星の多くが“リニア彗星”となってしまうのはそのためだ。今年初めに分裂−増光を繰り返して話題になった C/2001 A2 もリニア彗星と呼ばれている。

このリニア彗星 C/2000 WM1、日本からは 12 月下旬まで宵空で観望できそうで、とくに 12 月 4 日から 15 日ごろまでは、高度がほどほどに高く月明かりもないので最高の観望チャンスとなる。ただ、明るくなるとはいっても、肉眼で見るのはちょっとむずかしい。双眼鏡か望遠鏡の助けが必要だろう。暗い彗星を探すこつは、明るい星に接近するときを狙うことだ。12 月 4 日から 5 日のくじら座 η 星(3.5 等)、12 月 7 日のくじら座 β 星(2.0 等)への接近がチャンスとなる。場所は以下の星図を参考にしてほしい。

リニア彗星 C/2000 WM1 の 12 月中の位置の図

<ステラナビゲータ Ver. 5 にリニア彗星 C/2000 WM1 を表示させる方法>

次に、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ Ver. 5」を使って、リニア彗星 C/2000 WM1 を星図の中に表示させる方法を紹介しておこう。操作手順は以下。

  1. ステラナビゲータ Ver. 5 を起動
  2. メニューバーから「天体」→「彗星」を選択
  3. ポップアップした「彗星」ダイアログの中の「新規」ボタンを押し、以下の軌道要素を入力(入力済みのダイアログボックスの図
    リニア彗星 C/2000 WM1 の軌道要素
    (計算:村岡健治氏)
    認識符号C/2000 WM1
    日本語名リニア
    英語名LINEAR
    近日点通過時刻 (T)2002 年 1 月 22.67266 日
    近日点距離 (q)0.5552201 AU
    離心率 (e)1.0002785
    近日点引数 (Peri., ω)276.78588 度
    昇交点黄経 (Node, Ω)237.89593 度
    軌道傾斜角 (Incl., i)72.54996 度
    元期 (Epoch)2002 年 1 月 6.0 日 TT
    標準光度 (H1)7.0
    光度係数 (K1)10.0
  4. 各要素を入力後「OK」ボタンを押す
  5. 「彗星」ダイアログ内の「非表示彗星」の一番最後に追加された「リニア」を選択し、「↑」ボタンを押して「表示彗星」に「リニア」を移動
  6. 「チェック項目」の中の「名称」にチェックを入れ、「OK」ボタンを押す

以上の手順でリニア彗星 C/2000 WM1 が登録され、星図上に表示可能になる。時刻、方角などを適宜設定して彗星の位置を確かめてみていただきたい。