情報トピックス(2006年8月)

国内のさまざまなメディアで取り上げられた天文ニュースや天文分野の最新書籍などを紹介しています。記事の詳細については各リンク先を参照してください。なお、投稿画像は天体画像ギャラリーに掲載しております。天文関連書 新刊情報は、BOOK REVIEW をご覧ください。

2006/08/30

9月5日0h50m頃、連星系の小惑星による恒星食

9月5日00h50m頃、小惑星(77)Frigga による TYC 0625-01155-1(mag11.5)の掩蔽が国内で起こる。この小惑星(77)Frigga は、チリのVLT望遠鏡に補償光学系を組み合わせた観測から、連星系であることが判明した。このため特に注目したい掩蔽現象だ。

2つの星のサイズはほぼ同じ、双方とも直径50km程と推測されている。また双方は近接していて100km以下の間隔。連星系であることを考慮すると遠く離れた地点でも掩蔽が観測される可能性があり、せんだい宇宙館では、全国各地での観測を呼びかけている。観測の注意点、観測報告に必要なデータなどは、せんだい宇宙館による国内向けの予報を参照のこと。

アトランティス号の打ち上げ再び延期

日本時間8月30日午前4時41分(米・東部夏時間2006年8月29日午後3時41分)の打ち上げが再び延期された。次の打ち上げ日時は発表されていないが、NASAでは、熱帯低気圧通過後に早急な準備を行うことで、打ち上げを来週に行える可能性があると発表している。

2006/08/28

「アトランティス号」は打ち上げ延期

NASAは、8月28日午前9時15分(米・東部夏時間8月27日午後8時15分)に実施予定だったスペースシャトル「アトランティス号」の打ち上げ延期を発表した。次の打ち上げ日時は、8月30日午前4時41分(米・東部夏時間8月29日午後3時41分)。

延期の理由についてNASAは、落雷によるスペースシャトルのシステムや射点設備の調査に時間かかかったためとしているが、調査の結果、全設備の安全性が確認されている。なお、現在、メキシコ湾で発生している熱帯低気圧の今後の進路次第では、スペースシャトルを組み立て棟へ戻すことも検討されている。その際、打ち上げ日時は再設定される。

各地のプラネタリウムで「惑星の定義」解説

国際天文学連合(IAU)の総会で発表された「太陽系の惑星の定義」は、社会的にも大きな反響呼んでおり、「冥王星がなくなる」と思ってしまった子どももいて、各地のプラネタリウムでは臨時の講演会や解説を加えるなどして対応している。講演会やプラネタリウムに足を運び、太陽系の惑星について正しく学ぶ機会にしてはどうだろうか。なかでも、静岡県のディスカバリーパーク焼津では、「冥王星が消える?!新しい惑星の定義」と題したプラネタリウム緊急特別企画を9月1日から9月30日まで開催する。

さいだん座μ星(恒星HD 160691)に4つ目の惑星発見

われわれから約50光年の距離にあるさいだん座μ星に4つ目の惑星が発見された。これは、すでに4つの惑星が発見されているかに座55番星と並ぶタイ記録となった。発見された惑星の周期は310日、木星の半分程度の質量。さいだん座μ星には、2004年に地球の質量の14倍という惑星も発見されている。また、天王星や海王星と同等の質量のかに座55番星の惑星も、主星に近いためにガスが吹き払われて、大型の地球のような惑星となっているかもしれないと推測されている。

2006/08/25

スペースシャトルの断熱材剥離対策は、おおむね改善

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、スペースシャトルSTS-114ミッションで発生した5箇所の断熱材の剥離について、対策が講じられたSTS-121ミッションの機体の状況確認を発表した。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の報告書によれば、STS-114ミッションで剥離した全5箇所のうち、4箇所については、いずれも"剥離の発生なし"または、"剥離が想定内の少量であった"など、講じられた対策によって断熱材問題がおおむね改善されたことが確認された。なお、「氷/霜ランプと近傍タンクの表面」は、STS-121ミッションで同じ設計のまま打ち上げられ、将来の改良が検討されている。

2006/08/23

榎本大輔さん、今回の宇宙旅行は断念

ロシア宇宙局は、9月14日打ち上げのソユーズに乗船する予定だった、投資家の榎本大輔さん(元ライブドア取締役)について、医学的な検査結果から乗船を取りやめる旨を発表した。史上4人目の宇宙旅行者となることを目指して訓練を続けてきた榎本さんは「9月のフライトには残念ながら合いません。次のフライトも現時点では未定ですが、気持ちを切り替えて次のフライトに向けて、まずは治療に専念したいと思っています。」といった内容のコメントを自らの宇宙飛行士 榎本大輔ブログ DICE-K.comで発表した。

スペースシャトルの次は「オリオン」

NASAは、スペースシャトルに続く有人宇宙飛行船の名前「オリオン」を発表した。名前の由来は、もちろん星座のオリオン。夜空で見つけ易く最も親しまれていることからつけられた。「オリオン」は月への有人飛行を行うが、火星への旅も視野に入っている。2014年までに予定されている初飛行の目的地は国際宇宙ステーション、月への有人飛行は2020年までに実施される予定だ。

太陽観測衛星STEREOの打ち上げは9月18日以降

8月31日に予定されていたNASAの太陽観測衛星STEREOの打ち上げが9月18日以降に延期となった。これは、ロケットの燃料タンクの厚みについて構造上問題がないかどうか、慎重な見極めが必要と判断されたため。過去のミッションで使用された同様の構造のタンクでは、酸化剤タンク周辺の厚みに問題が明らかとなっている。

2006/08/21

全面民間委託の有人宇宙開発がスタート

NASAは、2010年以降スペースシャトルに代わって、国際宇宙ステーション(ISS)へ人員と物資を輸送する企業を決定した。技術面における革新的なコンセプトと堅実な事業計画が評価され、計20社の応募から選ばれたのは、カリフォルニア州のスペースX社とオクラホマ州のロケットプレーン・キスラー社の2社。有人宇宙船の開発をNASAが民間に全面委託するのは初めてのこととなる。

2006/08/18

「アトランティス号」打ち上げで、国際宇宙ステーション建設再開へ

スペースシャトル「アトランティス号」の打ち上げが日本時間8月28日の5時30分(米東部夏時間の8月27日16時30分)と発表された。今回のSTS-115ミッションは、「アトランティス号」による国際宇宙ステーション(ISS)組立フライト。建設再開は、2002年11月以来となる。

3D画像で太陽のコロナ質量放出にせまる

NASAは、双子の太陽観測衛星STEREOを8月31日に打ち上げる。STEREOは2基の衛星によって太陽を違う角度から観測することで、太陽フレア、太陽風、コロナ質量放出(CME)などを立体的に捉える。観測期間は2年。初めて得られる立体映像から、コロナ質量放出(CME)とは一体何なのか、どこで、どのように起きるのかなどの疑問に最終的な答えが出されることが期待されている。

2006/08/17

ボイジャー1号、大きな一里塚を通過

1977年に打ち上げられたNASAの探査機、ボイジャー1号が、日本時間8月16日午前7時13分に太陽から100天文単位の位置に到達した。これは地球から太陽までの距離のちょうど100倍で、およそ150億キロメートルに相当する。現在ボイジャー1号が飛行しているのは「ヘリオシーズ」と呼ばれる太陽風と恒星間風が「混ざり合っている」領域だ。後10年ほどで、恒星間風の勢いが太陽風に勝る、文字通りの「太陽系外」に到達すると見られる。

2006/08/16

盛況を博した第二回はやぶさ国際科学シンポジウム

7月12日から14日に東京大学で第二回はやぶさ国際科学シンポジウムが開催された。最終日の15日会場において、国際天文学連合(IAU)小惑星命名委員会から、藤原顕前プロジェクトサイエンティストの「はやぶさによるイトカワ探査を成功させた、小惑星の衝突破壊過程や宇宙塵の捕集実験のパイオニア」としての功績を称え、メインベルト小惑星「1991AF」を「(5782)Akirafujiwara」(1991「AF」は藤原顕氏のイニシャル)と命名するとの報告が発表された。

なお、はやぶさシンポジウムシリーズは全3回。2回目の今回は微小天体であるイトカワの変化にとんだ地形や構造の形成にせまる議論がたたかわされた。次の開催は、地球帰還カプセル回収後の2010年から11年に開催される予定となっている。

2006/08/11

クロイツ群彗星の発見数が1000個に

昨年8月に彗星の発見数1000個を達成した太陽観測衛星SOHOが、ちょうど一年後となる今年8月、クロイツ群彗星の発見数1000個を達成した。

1000個目のクロイツ群彗星”SOHO-1185”の発見者はポーランドのArkadiusz Kubaczak氏。この記念すべき彗星は、Arkadiusz Kubaczak氏にとって自身3個目のSOHO彗星。同氏は自身初のSOHO彗星発見からたった3日後にこの彗星発見に至っている。

2006/08/09

欧州の飛行士が宇宙滞在記録を更新

国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中のヨーロッパ宇宙機関(ESA)のトーマス・レイター氏が、欧州の飛行士としての宇宙滞在記録を更新した。滞在通算は209日で、Jean-Pierre Haignere氏の209日12時間25分を更新した。同氏は、米国、ロシア以外の宇宙飛行士としては、初の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在乗組員で8月3日には欧州飛行士として初めての船外活動も行った。

2006/08/07

水星探査機メッセンジャー、2回目の打ち上げ記念日迎える

2004年8月4日に打ち上げられた水星探査機メッセンジャーが、打ち上げから2回目の打ち上げ記念日を迎えた。現在までに探査機のコンピュータは18万以上のコマンドを実行し、飛行距離も19億キロメートルに達しようとしている。次の目標は金星で、最終目的地の水星周回軌道に入るのは4年半後の2011年の予定。

暗黒エネルギーにせまる「デスティニー」(Destiny)

宇宙全体に広がり、宇宙の膨張を加速させている暗黒エネルギーの性質にせまる観測を行う宇宙望遠鏡「デスティニー」(Destiny)の開発担当として、アメリカ国立光学天文台(NOAO)とNASAのゴダード宇宙センターからなるチームが選ばれた。実際の観測は2013年からで、初期ミッションでは、まず2年をかけて3千個以上の超新星を観測。その後の1年間で、ビッグバン以来の宇宙膨張に迫るため、広範囲における物質分布を調べることになっている。

2006/08/04

スターダスト@ホーム、彗星の粒子探しは 暫しおあずけ

ネット上に11万5千人の彗星の粒子探しボランティアを集め、8月1日に開始されたSTARDUST@HOME(スターダスト@ホーム)で公開初日に問題が発生し、参加者が事前に行う粒子探しトレーニング(模擬的な事前練習)などのページが残念ながら現在閉じられている。

インターネットを持つ人ならだれでも参加できるこの彗星の粒子探しは、干草の中の針探しに例えられるように、ネット上に設けられたバーチャル顕微鏡を使って、スターダストが持ち帰った粒子を参加ボランティアが探すプロジェクト。発見者には、粒子に名前をつける権利も与えられるが、そのターゲットとなる星間塵の数は、50個には届かない程度と予測されている。

Huygens Scientific Archiveがスタート

2005年1月14日に土星最大の衛星タイタンに着陸したヨーロッパ宇宙機関(ESA)の小型探査機ホイヘンスのデータを集めたHuygens Scientific Archiveがスタートした。史上初の着陸で得られた貴重なデータを公開するこのアーカイブは、専門家だけでなく一般にも公開されている。

航空宇宙技術研究センターの展示室がリニューアルオープン

東京都調布市にある航空宇宙技術研究センターが今年8月リニューアルされた。この展示室では、昨年の飛行実験で使用された小型超音速実験機(ロケット実験機)や成層圏プラットフォーム飛行船システムなど、現在すすめている研究をはじめ、低騒音STOL実験機「飛鳥」や、小型自動着陸実験機「ALFLEX」など研究実績の展示、風洞実験やスペース・ミッション・シミュレータなども体験することができる。(入館料は無料、その他詳細は以下の見学案内ページを参照のこと)