土星の衛星4つに新しい名前 命名数で木星の衛星を逆転

【2007年9月21日 IAUC 8873】

国際天文学連合(IAU)の命名ワーキンググループ(WGPSN)が、これまで仮符号だけを持っていた土星の衛星4個について、固有の名前を発表した。これで名前の付いた土星の衛星は52個となり、木星の49個を上回った。


番号 衛星名 仮符号
Saturn XLIXAntheS/2007 S 4
Saturn LJarnsaxaS/2006 S 6
Saturn LIGreipS/2006 S 4
Saturn LIITarqeqS/2007 S 1

IAUが正式に命名した数では、ついに土星の衛星が木星の衛星を逆転した。この数年間、土星の新衛星発見が相次いだ結果だ。なお、不確かなものも含め仮符号だけがついている衛星の数では、両者は63個で並んでいる。

命名された衛星は発見の経緯や実際の性質もさまざまで、それは名前の由来にも反映されている。

49番目の命名衛星となったAntheは、ギリシア神話に登場する巨人族アルキオネウスの娘に由来する。カッシーニが撮影した画像から発見され、2007年7月に発表されたばかりだ。ちなみに、カッシーニの画像からはいくつもの衛星が見つかっているが、そのうち2004年に発見されたMethoneとPalleneの軌道はAntheとひじょうに近い。MethoneもPalleneもアルキオネウスの娘。3つの衛星の軌道は、ミマスとエンケラドスの間にある。

50番目のJarnsaxa、51番目のGreipは、土星からの距離が約1,800万キロメートルと遠く、土星の自転とは逆向きに公転する「逆行衛星」だ。最近見つかる衛星にはこのタイプが多く、北欧神話に登場する巨人の名前をつけるのが通例となっている。もちろん、JarnsaxaとGreipもこの例にもれない。2006年にハワイのすばる望遠鏡を使った観測で見つかった

52番目のTarqeqはイヌイット神話に登場する月の神に由来する。イヌイット神話から名前をつけられるのは、公転面が土星の自転に対して40度から50度傾いている衛星だ。こちらも、2007年にすばる望遠鏡の観測で見つかった