ハッブル宇宙望遠鏡、ホームズ彗星の核を撮影
【2007年11月16日 HubbleSite】
NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)がホームズ彗星(17P)を観測し、その明るい核をとらえた。ホームズ彗星(17P)はなぜ、10月24日のバーストで百万倍もの明るさとなったのか、得られたデータは、その解明に役立てられる。
HSTは、10月29日、31日、11月4日にホームズ彗星(17P)の観測を行い、約54キロメートルの分解能で小さな天体の姿を鮮明にとらえた。
実は、HSTがホームズ彗星(17P)をとらえるのはこれが初めてではない。初の観測は1999年6月のことだった。その際、核はとらえられなかったが、観測で得られた明るさから、核の直径は約3.4キロメートルと計算された。今回の観測では、より正確な核の大きさと、どれほどの物質が吹き飛ばされたのかについて、明らかにされることが期待されている。
11月4日にHSTが撮影した画像は、核を取り巻くちりの分布を明らかにするために、中心部分が明るく強調されている。彗星が蝶ネクタイのような形をして見えるのは、南北方向に比べ、東西方向にその2倍以上のちりが存在しているためだ。
また、29日に撮影された画像には、興味深い特徴として核から突き出た3本のちりがとらえられた。しかし、31日の画像には、ちりの噴出は核の西側にしか見られなくなっていた。
また、ホームズ彗星(17P)には、シュワスマン・ワハマン第3彗星(73P/Schwassmann-Wachmann 3)のような分裂した核はとらえらえていない。HSTによるシュワスマン・ワハマン第3彗星の観測では、急激に増光した彗星の核が分裂した、「ミニ彗星」ともいうべき多くの破片が発見された。
ホームズ彗星(17P)と地球とは、約2億3800万キロメートルという距離に隔てられている。その上、彗星の核の近くに存在する大量のちりにじゃまされて、核付近を観測することはできない。しかし、球状に広がったちりのようすから、ホームズ彗星(17P)では、最初に大きな破片が崩壊、続いて小さな破片が崩壊して、細かなちりの粒子になったと考えられている。