128億光年かなた、ガンマ線バーストの最遠記録更新

【2008年9月30日 NASA

NASAのガンマ線バースト(GRB)観測衛星スウィフトが、これまででもっとも遠い、約128億光年の距離で起こったガンマ線バーストをとらえた。


(GRB 080913の画像)

ガンマ線バーストGRB 080319(画像中央のオレンジ色の天体)。クリックで拡大(提供:NASA/Swift/Stefan Immler)

ガンマ線バースト観測衛星スウィフトに搭載されているバースト警報望遠鏡(BAT)が、9月13日にバーストを検出した。

BATは、ガンマ線バーストを検出し、位置を即座に確定する。その位置情報は、スウィフトの観測に利用されるとともに、すばやく世界中に送信される。

9月13日のバーストは、まず検出から2分後にスウィフトに搭載されたX線望遠鏡によって観測された。また、情報を受け取った南米チリのヨーロッパ南天天文台(ESO)の2.2mの望遠鏡と、そこに搭載されている残光撮像器GRONDも、スウィフトに遅れること約1分で、地上から残光の観測を開始した。

観測の結果、このガンマ線バーストが記録的に遠く離れた宇宙で起きた可能性が示された。

続いて、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLTが観測を行った。得られたデータの分析から、このバーストが約128億光年離れた距離(赤方偏移パラメータz=6.7)、つまり宇宙誕生から約8億2500万年以内に起きた爆発現象であることが明らかとなった。

約128億光年という距離は、これまでに観測されたガンマ線バーストの最遠記録を7000万光年ほど上回るものである。

ガンマ線バーストって何?

ガンマ線はX線よりさらに波長の短い電磁波だ。ガンマ線バーストとは、宇宙のある1点から突然、強力なガンマ線がひじょうに短い時間だけ飛来してくる現象。ガンマ線バーストには、性格の違う2種類のものがある。「ロング・バースト」と呼ばれるものは、ガンマ線の放射が2秒から数分程度。この正体は、極超新星爆発だと考えられるようになってきた。また、「ショート・バースト」の放出時間は、数ミリ秒から2秒程度。中性子星やブラックホールの合体という説が有力だ。(「150のQ&Aで解き明かす 宇宙のなぞ研究室」Q.93 ガンマ線バーストって何?より一部抜粋)