ガンマ線だけを放つパルサー

【2008年10月21日 NASA

これまでパルサーは電波を規則正しく放つ天体として知られていたが、NASAのガンマ線天文衛星フェルミの観測で、ガンマ線の信号しか見せないパルサーが発見された。似たような天体は数多く隠れている可能性がある。


(発見されたパルサーの位置を示した画像)

超新星残骸CTA 1とパルサーが見つかった位置(中央左寄り)、およびパルサーの想像図。パルサーの磁力線(青)に沿って動く荷電粒子がガンマ線(紫)を生み出している。クリックで拡大(提供:NASA/S. Pineault, DRAO)

ケフェウス座の方向約4,600光年の距離にあるCTA 1は、1万年ほど前に起きた超新星爆発の残骸だ。ガンマ線天文衛星フェルミは、ここに約0.3秒(316.86ミリ秒)周期で規則正しくガンマ線を地球へ放つ「パルサー」を発見した。

超新星爆発のあとには高密度の天体である中性子星が残されることが多いが、そのうち1,600個ほどが「パルサー」として観測されている。中性子星は強力な磁場を持ち、磁極の方向からは電磁波のビームが放たれている。さらに、中性子星は超高速で自転しているため、電磁波のビームは灯台のように回転することになる。離れたところからは規則正しく明滅する電磁波の信号(パルス)が観測されるため、パルサーという名前がついた。

これまで、ほとんどのパルサーからの信号は電波観測で発見されていたが、中には可視光やX線などで光るものも見つかっていた。しかし、CTA 1に発見されたパルサーから検出されたのは、ガンマ線だけなのである。このようなパルサーが発見されたのは、初めてのことだ。

フェルミの研究チームによれば、中性子星から放たれるガンマ線は、電波などほかの電磁波のビームに比べて広がっている。そして、CTA 1のパルサーは地球に対してガンマ線だけが届くような角度で自転しているのではないかという。

研究者は、同様の天体は数多く存在すると考えている。今後もフェルミがその威力を発揮し、新しいガンマ線パルサーを見つけてパルサーの研究に重要な役割を果たすかもしれない。

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