「あかつき」と「イカロス」、18日打ち上げ、ライブ中継も
【2010年5月12日 JAXA ホットトピックス】
5月18日に日本の金星探査機「あかつき」と小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」が種子島宇宙センターから打ち上げられる。当日は、インターネットによるライブ中継や、JAXA関連施設などでパブリックビューイングも行われる。
金星探査機「あかつき」と小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」が、4つの小型副衛星とともに、H-IIAロケット17号機に搭載されて、日本時間5月18日6時44分14秒に種子島宇宙センターから打ち上げられる。
「あかつき」は、火星探査機「のぞみ」に続く日本の惑星探査計画だ。世界初の惑星気象衛星として地球の兄弟星である金星へ向かい、とくにその大気の謎の解明に挑む。金星の表面から300km〜8万kmと大きく距離が変化する楕円軌道上より観測を行い、高度の違いを利用して、気象や地表面、金星から宇宙空間へと逃げ出す大気の観測や、雲のクローズアップ撮影などを行う。
金星表面では、秒速100mもの「スーパーローテーション」と呼ばれる暴風が吹いている。自転速度の60倍にも及ぶ風速がどのように発生しているのか、その原因は金星最大の謎とされている。「あかつき」は赤外線による観測で、雲の下の大気や地表の様子を調べて、この謎の解明を目指す。その他にも、雷の放電現象や火山活動の有無なども調べる予定だ。
また、いっしょに打ち上げられる小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」は、太陽光を利用した帆による宇宙航行と薄膜太陽電池による発電を世界で初めて実証することを目的としている。
「イカロス」の帆は、対角線の長さが20mの正方形で、厚さわずか0.0075mmという特殊な樹脂でできている。帆には薄膜の太陽電池が取り付けられていて、航行と発電を同時に行うことができる。太陽光をじゅうぶんに受けることができれば燃料を消費することはない。さらに、発電された電力を使ってイオンエンジンを駆動させれば、ひじょうに効率的な航行が可能となる。そのほか帆には、姿勢制御デバイスや観測用のセンサーも搭載されている。
「イカロス」は、打ち上げから数週間かけて帆を展開し、発電を試みる。またその後6か月以上をかけて、スラスターの噴射によって帆の向きを変化させる軌道制御実験を行う。
なお、打ち上げ当日の18日午前6時15分から約75分間にわたり、インターネットによるライブ中継や、JAXAiや相模原キャンパス、その他大学等でパブリックビューイングが予定されている。