回転花火銀河に出現した超新星2011feが増光中
【2011年8月29日 VSOLJニュース(277)/国立天文台石垣島天文台】
8月24日、通称「回転花火銀河」として知られるおおぐま座の銀河M101に17.2等級の超新星が出現した。アメリカのチームが発見しSN 2011feと符号が付けられたこの天体は現在も増光中で、今後どこまで明るくなるか注目される。
VSOLJニュース(277)より(8月25日)
おおぐま座のM101は、渦巻銀河を正面から見ているものです。腕が発達したSc型で、星生成も活発です。この銀河に、爆発後間もない超新星が見つかりました。スペクトルには水素がなく、Ia型だとすれば明るさは10等級に達するかもしれません。
全自動で超新星捜索を行っているアメリカのPTFチームは、8月24日に撮影した画像に、17.2等の新しい光点を見いだしました。前日23日には、同じ位置には20.6等より明るい天体はなく、爆発後間もない、たいへん若い超新星と考えられます。位置は、
赤経 14時03分05.80秒 赤緯 +54度16分25.3 秒 (J2000.0)
で、M101の中心から西に59秒角、南に271秒角ほどのところにあたります。発見画像でもわかるように、円盤の外縁部になります。
急遽撮影されたスペクトルには水素線が見られず、もしこの超新星がIa型ならば、20日ほど後になると予想される極大では、10等前後になり得るでしょう。M101は現在夕空に見えていて、これから太陽に近くなりますが、この超新星の動向から目が離せません。
回転花火銀河に、超新星出現!(8月28日)
国立天文台石垣島天文台より
北斗七星の柄の先のそばにある、「回転花火銀河」と呼ばれる渦巻き銀河M101(NGC 5457)に8月24日、超新星が発見されました。石垣島天文台のむりかぶし望遠鏡でも、26日夜撮影に成功し、ホームページで公開しましたのでお知らせします。
渦巻き銀河M101はおおぐま座の方向にあり、地球から約2,100万光年の距離にあります。私たちの太陽系が含まれる天の川銀河(銀河系)の2倍ほどの大きさ(直径約17万光年)を持つ渦巻き状の銀河です。渦巻き状の腕と呼ばれるガスや塵の集まりの中ではたくさんの星が生まれており、太陽のような星が約1億個あるといわれています。
また、星の最期である超新星爆発もこれまでにいくつか観測されていますが(最近では1970年)、今回の超新星はアメリカで発見され、その後世界各地で観測がおこなわれています。
発見時は17等の明るさでしたが、26日には13.2等にまで増光しており、これからさらに明るくなる可能性があります。石垣島天文台でも引き続き光度の変化などを観測していきます。
このまま明るくなると2週間後には、マゼラン星雲に出現し3等級にまでなった超新星SN1987Aに次ぐ明るさになるのではないかと予想する研究者もいます。
超新星2011feの位置
この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ステラナビゲータを起動後まず「ツール」メニューから「データ更新」を行い、「恒星」ダイアログで「超新星」の表示をONにしてください。
また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、超新星をわかりやすく×印で表示するための「超新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。