「星がたくさん出来るのは材料が多いから」と判明

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【2011年9月14日 ヨーロッパ宇宙機関

「星がたくさん出来るのは材料となるガスが多いから。」―いたってシンプルな結論だが、銀河内での星のベビーブームを誘発すると思われてきた銀河同士の衝突が、実は宇宙史のうえでは標準的な要因ではないことがわかってきた。


ガスから星を生み出す銀河

銀河内で星を生み出す材料となる低温ガス流のイメージ図(提供:ESA--AOES Medialab)

ハーシェルの観測領域

調査対象となった領域。それぞれ満月の約3分の1の大きさの範囲にある多数の銀河を観測する。赤外線の波長ごとに色分けしている。クリックで拡大(提供:(左)ESA/GOODS-Herschel consortium/David Elbaz、(右)ESA/GOODS-Herschel consortium/NASA/JPL-Caltech/David Elbaz)

100億光年以上かなたの宇宙には、現在の天の川銀河の数百倍もの勢いで次々と星が生まれる「ベビーブーム銀河」が多数見つかっている。つまり100億年以上前の初期宇宙は、銀河内の星形成がたいへん活発な時期だったようだ。

それより後の時期(つまり、近い距離)にはそのような銀河はほとんどないが、わずかな例の観測から、銀河同士の衝突が刺激となって星が活発に作られているとされてきた。

だが、フランス原子力庁(CEA)のDavid Elbaz氏らの研究で、初期宇宙の銀河では事情が異なることが明らかになった。

調査対象となったのは赤外線天文衛星「ハーシェル」の観測データで、可視光では見えない低温のダスト(塵)やガスが発する赤外線がとらえられている。さまざまな波長の赤外線で銀河を調べたところ、銀河同士の衝突は昔の銀河における星形成の活発化にあまり関係なく、むしろ銀河に含まれるガスの量に左右されることがわかったのである。

ガスは星を作る材料となるので、「ガスが多いほど、多くの星が生まれる」というのはこれ以上ないほど単純明解だ。

銀河同士の衝突が有効なのは、生まれてから100億年以上経ち、ガスを使い果たした銀河の場合のみという。つまり、もっと新しい時期から現在に至るまでの銀河に当てはまる。

衝突という派手な現象ではなく、ガスをゆっくり集めながら星を生み出していく。浮かび上がってきた、意外にも穏やかな銀河の進化の姿は、宇宙の歴史に対する理解を劇的に変える端緒となる可能性をはらんでいる。

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