超新星残骸にたった55歳の中性子星?
【2012年8月1日 X線天文衛星チャンドラ】
X線天文衛星チャンドラが、55年前に起こった超新星残骸からのX線を初めて検出した。そのデータから、爆発した星の跡に超高密度の中性子星ができているかもしれないこともわかった。
うみへび座の方向1500万年かなたの渦巻銀河M83にある超新星残骸は、1957年に起こった超新星爆発「SN 1957D」の名残りだ。銀河系外の天体としては珍しいことに、爆発から数十年後の1981年に電波で、1987年に可視光でも検出されている。
2000年と2001年にはX線観測が行われたが、14時間という比較的短時間の観測だったためか、その時には何も見つからなかった。初めてX線が検出されたのはさらにその後、2010年と2011年に行われた8.5日間の観測データからである。
SN 1957Dは、大質量の恒星が重力崩壊して起こったものと考えられている。X線分布から、残骸の中心には高速で自転する中性子星があるらしいことがわかった。中性子星は崩壊した星の核が元となった高密度天体で、その周囲にほぼ光速で動く荷電粒子のまゆ(パルサー風星雲)を作っているかもしれない。
もしそうなら、これは観測されたものとしては最も若い55歳の中性子星ということになる。かみのけ座の渦巻銀河M100で1979年に起こった超新星爆発の残骸にも中性子星らしきものが見られるが、ブラックホールか中性子星パルサーなのか、確かなことはわかっていない(参照:2010/11/22 「超新星1979Cの残骸は、たった30歳のブラックホール」)。