火星にドライアイスの降雪を初観測

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【2012年9月14日 NASA

二酸化炭素の氷(ドライアイス)の存在が知られてきた火星の南極で、その氷を降らせる雪雲の存在が初めて確認された。


雪雲から降ったドライアイス粒子の分布図

二酸化炭素の雪雲から南極に降ったドライアイスの粒の分布図。粒子の大きさで色分けされている。南極に近い中央が白く(=粒子が細かい)、外側は青くなっている(=粒子が粗い)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

火星の南極には二酸化炭素の氷(ドライアイス)が存在していることが数十年前から知られてきた。また、水の氷も2008年に見つかっている。そして今回、ドライアイスの雪を降らせる雲の存在が初めて明らかになった。

研究を行ったNASAジェット推進研究所のPaul Hayneさんは、「ドライアイスの雪を降らす雲の存在を決定的に確認した初めての例です。雲が二酸化炭素でできていることはまちがいなく、厚みもじゅうぶんで、火星の表面に積もるほどの雪を降らせたはずです」と話す。

研究では火星探査機「マーズ・リコナサンス・オービターMRO」に搭載された火星気候観測機(MCS)を使って、大気の温度や含まれる粒子の大きさ、濃度などを調べた。最新の分析に利用されたのは、火星の南極が冬を迎えた2006年から2007年に南緯70度から80度付近の領域を観測したデータだ。

分析の結果、高高度には極の上空にいすわる幅約500kmの二酸化炭素の雲を、そして低高度には、すぐに消えてしまうような小さいドライアイスの雲を、それぞれ確認した。

「降雪の根拠の1つは、雲の中に含まれる二酸化炭素の氷の粒子が地上に落ちるほどの大きさだったことです。また、雲を水平方向から観測すると、明らかにドライアイスの粒子が検出されました。しかもそれが地上までつながっているのです。地表だけではなく大気中の粒子であるということが、このようにしてわかりました」(研究チームのDavid Kassさん)。

南極の極冠は火星で唯一、凍った二酸化炭素が一年中残る場所だ。雪が降り積もった結果なのか、それとも表面が凍って霜のようになったのかははっきりわかっていない。だが今回の研究成果で、特に南極付近で活発な降雪があることがわかった。

「今回の発見を見ると、極冠にドライアイスが堆積するプロセスと、それがずっと解けずに残っていることは関連性があるのかもしれません」(Hayneさん)。

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