散開星団中の太陽そっくりの恒星を巡る系外惑星

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【2014年1月17日 ESO

南米チリでの観測から、かに座方向の散開星団M67に含まれる恒星に3つの系外惑星が発見された。星団の中で系外惑星が見つかるのはとても珍しい。このうち1つは、太陽のふたごともいえるほどそっくりの星の周囲を回っている。


系外惑星

太陽そっくりの恒星に系外惑星が発見されたのは、星団の中では初めて(提供:ESO/L. Calçada)

散開星団M67の位置

かに座の散開星団M67の位置。17日は月のすぐそばにあるので、「あのあたりだな」と思いをめぐらせるのもよいだろう。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」でシミュレーション作成)

太陽以外の恒星を回る系外惑星はすでに1000個以上見つかっており、もはや珍しい存在ではない。そしてその太陽にあたる恒星には、さまざまな年齢や組成のものがありバラエティに富んでいる。だがそのうち、星の集団である星団の中に見つかっているものは、ほんのひと握りしかない。ほとんどの恒星が星団として生まれることを考えると、これは不思議だ()。星団内での惑星の形成には、特別な何かがあるのだろうか。

この謎を解明するべく、独・マックスプランク地球外物理学研究所のAnna Brucalassiさんらは、かに座方向約2500光年彼方の散開星団M67を調べた。南米チリ・ラシーヤ天文台の口径3.6m望遠鏡に搭載した系外惑星探査用装置「HAPRS」を用いて、M67におよそ500個ある恒星のうち88個を選んで6年間観測を行った。

観測された星々は、通常系外惑星の探査対象となる恒星としては暗いものだが、HARPSの性能を最大限に発揮し、惑星の重力による恒星のわずかなふらつきを検出する方法(視線速度法、ドップラー法)で3つの惑星が発見された。恒星数に対する惑星数から言えば星団以外と同等の発見率だ。星団の中の惑星は、これまで観測にひっかからなかっただけで、実はありふれたものであることが示唆されたことになる。

惑星が発見された3つの恒星のうち1つ「YPB 1194」は、温度や質量、化学組成まで太陽とほぼ同じ、ふたごといえるほどそっくりのものだ。「太陽に似た」といってもいろいろあるが、ここまで似ている天体はなかなかないという。星団内にある「太陽のふたご」レベルの恒星に惑星が見つかったのは、これが初めてのことだ。

YPB 1194に発見された惑星は木星の3分の1程度の質量を持つ。公転周期は約7日と短く、液体の水が存在できるハビタブルゾーンからは外れている。

編注:「星団の形成」 巨大なガス雲から複数の恒星がいっせいに生まれたものが星団となる。多くの恒星と同じように太陽も星団の中で生まれたが、やがて互いに離れてばらばらになり、今のように孤立していると考えられている。


ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、およそ800個の「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、系外惑星が発見された恒星を星図に表示できます。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ」メニュー→「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。

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