基本的な画像処理の流れ

「ステライメージ」の開発で大切にしているのは、天体画像処理を誰にでも楽しめるものにすること。下処理から仕上げまでのポイントを押さえれば、たった10ステップで画像から天体を浮かび上がらせることができます。「ステライメージ10」で追加や改良された機能を中心に、画像処理の流れを紹介します。

「星ナビ」2025年5月号掲載の記事より再構成。

ステップ1 前処理

RAW現像やダーク補正、コンポジットなど、「前処理」にはさまざまな工程が必要です。しかし、これらの処理は決まった手順で行われるため、ステライメージではファイルを指定し、必要なオプションを設定するだけで一括処理できるようになっています。

コンポジットパネル 「ステライメージ10」のコンポジットパネル

「ステライメージ10」では、この前処理に、天体写真家のあぷらなーとさんが考案した「ピクセルマッピング」「クールファイル補正」「マイナス輝度値保護」「コスミカット」を採用。これにより、ダーク補正やホット/クールピクセル除去では取り除けなかったノイズも補正できるようになりました。ピクセルマッピングはダークフレームを使った解析作業が必要ですが、それ以外の処理はオプションをチェックするだけで簡単に実行できます。

ロジカルな処理に基づき、ノイズを極限まで低減できるため、後の工程で従来よりも一段階強い画像処理が可能です。過去の画像も再処理してみると、さらに高品質な仕上がりが期待できます。

コンポジット直後(レベル調整のみ) コンポジット直後(レベル調整のみ)

ステップ2 天体の写りを確認「レベル調整」

前処理が終わったら、レベル調整をきつめにかけて、周辺減光やノイズの具合を確認します。周辺減光やノイズはなるべく処理の早い段階で取り除いた方が、後の処理が楽になります。

レベル調整ダイアログ レベル調整ダイアログ。従来の「最小値」「最大値」に加えて「ガンマ」(中間調)のスライダーが追加されました。
レベル調整で強調(状態の確認) レベル調整で強調(状態の確認)

ステップ3 光のムラを取り除く「周辺減光補正」

フラット補正では、再現性のない複雑な輝度ムラは補正しきれないことがあります。その場合は「周辺減光補正」を使って調整を行います。

周辺減光補正ダイアログ 周辺減光補正ダイアログ。指定できるポイント数を100まで増やしたことで、補正計算もより高次に対応したので、より複雑なムラも補正できるようになりました。
周辺減光補正処理後 周辺減光補正処理後

ステップ4 色のバランスを調整「オートストレッチ」

画像全体の色のバランスを整えます。まずは定番の「オートストレッチ」で処理します。

オートストレッチダイアログ オートストレッチダイアログ。オートストレッチ後もカブリが目立つ場合は、ステップ2と3を繰り返してなるべくフラットになるよう補正します。
オートストレッチ処理後 オートストレッチ処理後

ステップ5 ノイズを低減「輝度/カラーノイズ低減」

さまざまな強調処理をしていくとだんだんノイズが目立ってきて、最後にノイズ処理をすることも多くなります。しかし、強調処理をする前にできるだけノイズを減らしておくと、後の処理でノイズに悩まされることが少なくなります。ここではいったんレベル調整を極端にすることでノイズを目立たせ、新機能の「輝度/カラーノイズ低減」を使ってノイズを減らします。

輝度/カラーノイズ低減ダイアログ 輝度/カラーノイズ低減ダイアログ。輝度とカラーを別々にノイズ処理することで、いい感じに調整できます。
輝度/カラーノイズ低減処理後 輝度/カラーノイズ低減処理後 (処理前後の比較画像)

ステップ6 星雲の淡い部分を引き出す「ピンポイント・トーンカーブ」

本格的な強調の前に、一度画像のレベルを元に戻し、適度にレベル調整をしておきます。この時点で明るい星などが白飛びしている場合は、デジタル現像で復元します。

デジタル現像ダイアログ デジタル現像ダイアログ。白飛びしてしまった部分の階調を取り戻します。
デジタル現像処理後 デジタル現像処理後

いよいよ「ステライメージ10」の一番の目玉である「ピンポイント・トーンカーブ」の出番です。星雲・星団の淡い部分を指定してスライダーを操作するだけで、あっという間に階調豊かな画像にすることができます。

ピンポイント・トーンカーブ調整ダイアログ ピンポイント・トーンカーブ調整ダイアログ。階調の強調具合、シャドウ・ハイライトの調整がスライダーで簡単に操作できます。
ピンポイント・トーンカーブ調整処理後 ピンポイント・トーンカーブ調整処理後

ステップ7 色彩をあざやかにする「マトリクス色彩補正」「色相補正」

定番の「マトリクス色彩補正」にCMOSカメラ用のパラメータを追加したので、これまで以上に色を鮮やかにできるようになりました。また、新機能「色相補正」で、特定の色の色合いを調整することができます。

マトリクス色彩補正ダイアログ 色相補正ダイアログ マトリクス色彩補正ダイアログと色相補正ダイアログ。色相を調整して透明感のある画像に仕上げることができます。
マトリクス色彩補正、色相補正処理後 マトリクス色彩補正、色相補正処理後

ステップ8 星を美しくする「スターシャープ」「スターエンハンス」

画像処理をしていくとどうしても星が大きくなりがちなので、ここも定番の「スターシャープ」で星を一回り小さくして、肝心の星雲などを引き立てるようにします。

 スターシャープで小さくなった星が暗くなりすぎた場合は、「スターエンハンス」で輝きを取り戻します。

スターシャープダイアログ スターシャープダイアログ。星マスクを使うと、より強いシャープをかけられます。
スターシャープ、スターエンハンス処理後 スターシャープ、スターエンハンス処理後

ステップ9 星雲の細部を際立たせる「スマートマルチバンド・シャープ」

最後に「スマートマルチバンド・シャープ」を使って星雲のディテールを強調します。

スマートマルチバンド・シャープダイアログ スマートマルチバンド・シャープダイアログ。星雲のディテールを強調できます。
スマートマルチバンド・シャープ処理後 スマートマルチバンド・シャープ処理後 (処理前後の比較画像)

ステップ10 完成!SNSなどで公開しよう

完成した画像は解像度などを調整してJPEGやPNGの画像に変換します。SNSなどで公開するのも良いですね。天体画像処理に役立つ機能が追加された「ステライメージ10」で、天体画像をますますお楽しみください。

完成画像 完成画像(撮影・画像処理/窪田 光)

作例

馬頭星雲 IC 434(馬頭星雲)

馬頭星雲の西側の淡い領域を無理に描出せず、全体的な滑らかさを維持したまま透明感のある仕上がりを目指しました。青と黄色の星雲の色は「色相補正」機能で好みに合わせて微調整を施しています。(撮影・画像処理/新宿 健、以下同)

クリスマスツリー星団、コーン星雲 NGC 2264(クリスマスツリー星団、コーン星雲)

星マスクをかけて「ミニマム」処理を施し、星だけを小さくして背景のガスを目立たせました。赤一辺倒にならないよう「オートストレッチ」と「色相補正」を活用してカラーバランスを調整しつつ強調を進めました。

アンドロメダ座大銀河 M31(アンドロメダ座大銀河)

元データは総露光わずか14分なので、まずは「輝度/カラーノイズ低減」機能を使ってカラーノイズを十分に除去しました。その後は銀河の色合いを綺麗に見せることを意識して仕上げました。

作例:オリオン座大星雲 M42(オリオン座大星雲)

オリオン座大星雲と周囲のガスの色合い表現を重視しました。デジタル現像で飽和を防いだのち、まずは「マトリクス色彩補正」で全体的な彩度を高め、最後は「Lab色彩調整」で色合いの微調整を行いました。