星ナビ 2006年10月号

レポート／川村 晶＋星ナビ編集部

2006年10月13日

激安かつ充実装備のオールインワン

「WHITEY DOB 25cm F4.8」

入門機並の価格で口径25cm

この夏に発売を開始し、そのきわめて安価な価格設定で注目を集めているのが、国際光器オリジナルのホワイティドブシリーズだ。ここで紹介する口径25cmのホワイティドブ25cmF4.8以外にも、口径15cmF8と20cmF6の計3機種がラインアップされている。口径15cmが29,800円、20cmが39,800円、25cmが64,800円と、今までにない破格な値段が付けられている。これは、海外生産と大量発注による大幅なコストダウンによるものだ。さらに、3機種ともにF値ではなく、焦点距離を1200mmに統一することで、架台部分のほとんどを同一パーツで構成することでもコストを抑える努力がされている。さらに、PL10mm（120倍）とPL25mm（48倍）の2本のアイピースが付属するので、追加の出費をすることもなく、天体観望が始められるのがうれしい。ちなみに、メーカーは世界的にも大きなシェアを持つ中国のSYNTA社である。

多くの工業製品と同様に「機能・性能は価格に比例する」と思ってしまいがちだが、ホワイティドブは、主鏡や斜鏡の素材に低膨張率のパイレックスを使用し、シースルータイプの主鏡セルや薄い斜鏡支持金具を採用するなど、各部を見る限り、他のメーカー製ドブソニアンと比較しても見劣りしない造りという印象を受ける。

構造的におもしろいのが、架台の垂直軸部分だ。一般的には、架台上部に半円形の切り込みを付け、その上に円盤状の耳軸を載せるというものが多いが、ホワイティドブでは、切り込みの代わりに箱形の架台の内側にふたつの突起を付けることで、耳軸の受けとしている。突起はテフロンのような樹脂製で、耳軸の回転はじゅうぶんすぎるなめらかさを持っているので、適度な抵抗を与えるために、架台部のロックハンドルが取り付けられている。ロックハンドルといっても、鏡筒の動きをロックするためのものではなく、締め付け加減を調整することで耳軸の円盤側面と架台内側の面をすり合わせ、適度なフリクションを得るためのものだ。これで、鏡筒前後が多少アンバランスでも静止する仕組みだ。組み立てた状態で、設置場所を移動する場合のキャリーハンドルにもなる。ただし、耳軸の円盤を覆う位置まで架台部の側板が高くなり、架台全体がやや大きくなる欠点もある。

組み立てに必要な工具からアイピースまで、すべてそろった一式ながらも激安価格なので、何より価格優先という人には、見逃せない存在だろう。

ホワイティドブは、組み立てを解説した取り扱い説明書や組み立てに必要な工具も過不足なく付属するので親切。31.7mm径のアイピース2本も付属するオールインワンパッケージだ。