星ナビ機材セレクション
「ボーグ125SD(BORG 125SD)」
アストロアーツオンラインショップ特価
458,000円(税込)
※販売を終了しました
星ナビ 2008年5月号
レポート/川村 晶+星ナビ編集部
2008年5月30日
多彩なパーツで多用途に対応
前述のようにボーグ125SDは、ボーグ125ED F6.4VIによく似たスタイルである。VIとは眼視観望用の装備を持った機種で、当時は他にPHと呼ばれる写真撮影向きの接眼部である中判ヘリコイドがあらかじめ装着された機種も存在していた。
ボーグシリーズの最大の特徴は、接眼部周辺のアクセサリーのみならず、対物レンズを収めたユニットさえも分離でき、対物レンズそのものの交換も可能であることだ。ボーグ125SDも、対物レンズを収めたユニットはもちろん、鏡筒後端側の接眼ユニットNや115Φファインダー台座Nなども鏡筒部分から分離可能で、かなりバラバラな状態にすることできる。分解すると、もっとも長いパーツでも長さ360mmの鏡筒部分なので、海外遠征などで荷物をコンパクトにまとめたい場合には、とても便利である。
鏡筒の外径は115mmで、鏡筒の対物側が外径140mmと一段太くなり、やや大きめのフードのように見えるが、このフード状の筒の中央付近にある黒い部分がレンズを収めるセルになっている。したがって、実際のフードは先端の80mmほどの部分で、一般的な屈折望遠鏡のフードとしてはかなり短い印象だ。鏡筒外径がレンズ直径よりも小さいものの、レンズセルから実際に鏡筒が絞られる部分までは85mmほどの長さがあり、直焦点での写真撮影に使用しても、35mm判フルサイズのイメージサークルで光路がケラレることはない。ちなみに、写真撮影用途での広い写野を確保するという理由で、鏡筒内には迷光対策の遮光絞りは取り付けられていない。
対物レンズは、凸レンズを前に置いた分離式2枚玉で、一般的な形式。レンズ表面には4面ともにマルチコートが施され、レンズのコバもきちんと黒染めがされている。いかにもていねいに造られているという印象だ。
レンズセルは、ボーグ125EDの各機種で採用されていたものの改良型で、基本的には充分な工作精度を持たせたレンズをセルに組み付け、接眼部側のレンズのみの中心をわずかに調整できるだけの余裕を持たせるという構造だ。そのため、セルの外周4方向からレンズの位置を調整するイモネジが配置されている。この調整方法でどれほどの効果があるのかは、いささか疑問だが、試用機では光学的な問題点は感じられなかった。
接眼部は、ドローチューブを抜き差しするだけのシンプルなしゅう動式の眼視ユニットNが標準で付属するだけだ。ストローク長は77mmだが、ピントの微調整ができる機構やアイピースホルダなどは付属しない。したがって、観望や撮影に利用するためには、別途に購入するか、手持ちのものを流用する必要がある。すでに販売されているトミーテックオリジナルのヘリコイドMやヘリコイドMDX、さらにOEM供給を受けているマイクロフォーカス接眼部、フェザータッチフォーカサーなどが眼視ユニットNの後端に直接取り付けが可能だ。また、眼視ユニットNを取り外せば、中判ヘリコイドも取り付けることが可能である。写真撮影を行うのなら、ヘリコイド式の接眼部、眼視観望がメインなら、マイクロフォーカス接眼部やフェザータッチフォーカサーあると便利だろう。
また、鏡筒のみの重量がわずかに3.5kgしかないというのも、ボーグ125SDの大きな特徴といえるだろう。トミーテックから本格的な赤道儀は販売されていないが、観望用途ならビクセンGP2やスフィンクス、タカハシEM-11などの小型赤道儀でもじゅうぶんに実用になるのがうれしい。