ハッブル宇宙望遠鏡がネオワイズ彗星を撮影
【2020年8月26日 NASA】
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)は8月8日にネオワイズ彗星(C/2020 F3)を撮影した。HSTがこれほど明るい彗星を、彗星の太陽接近からこれほど間もないタイミングでとらえたのは初めてのことである。公開された画像にはコマ(太陽に温められた彗星核を包むガス)と塵の塊がはっきりととらえられている。
ネオワイズ彗星は今年7月3日、太陽に約4300万kmの距離まで接近した。これだけ近づけば多くの彗星は熱や重力に耐えられず崩壊してしまうが、HSTの画像からネオワイズ彗星の核が無傷だったことが示された。
「HSTは他のどの望遠鏡よりも高い解像度でネオワイズ彗星をとらえることができます。太陽の熱によって核から引きはがされれた直後の塵の変化を見ることができるので、可能な限り彗星本体の特徴に近い塵を抽出できることになります」(米・カリフォルニア工科大学 Qicheng Zhangさん)。
氷の塊であるネオワイズ彗星の核は直径5km以下とみられており、HSTの分解能を持ってしてもその姿を確認することはできないが、核の周りで輝くコマの一部がとらえられている。コマは差し渡し1万8000kmに及ぶ。また、核から噴出する一対のジェットも写っている。これらのジェットは、核の表面近くにあった氷が昇華することにより塵とガスが高速で押し出されて発生したものだ。最初は核から円錐状に放出され、核の自転の影響で扇状に広がっていく。
HSTの画像から、ネオワイズ彗星の塵の色や、彗星が太陽から遠ざかるにつれてその色がどう変化するのかが明らかになるかもしれない。こうした情報により、彗星のコマに含まれる塵の構造と組成が太陽熱の影響をどのように受けるかを知ることが可能になる。最終的な目標は、塵本来の性質を知り、それが形成された太陽系初期の環境を解明することだ。
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