再帰新星さそり座Uが12年ぶりに爆発、8等台に

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再帰新星として知られるさそり座Uが2010年1月以来、約12年ぶりの爆発を起こした。

【2022年6月7日 高橋進さん】

さそり座U(U Sco)は再帰新星(反復新星、回帰新星)の一つで、約10年ごとに爆発を繰り返して明るくなるタイプの天体です。1863年にイギリスのポグソンが9.1等で発見し、20日後には13等以下になり見えなくなってしまいましたが、その後1906年にも同じ場所で爆発が観測されました。さらにその後も1917年、1936年、1945年、1969年、1979年、1987年、1999年に増光が観測され、前回最後の増光は2010年1月でした。

今回の増光を発見したのは長崎県の変光星観測者、森山雅行さんでした。森山さんは25cmシュミットカセグレン望遠鏡に取り付けたCCDカメラで観測を行っており、6月6日の22時34分に撮影したときには17.3等以下で見えませんでしたが、7日2時17分に撮影した画像に11.4等で写っているのを発見しました。この情報は変光星観測者のネットワークのVSNETなどで報告され、岡山県の前原裕之さんより7日3時33分に9.2等で、さらに海外の変光星観測者らによって8等に明るくなっている様子が確認されました。

過去の増光時の観測から、この後はおよそ2日に1等くらいのスピードで急速に暗くなっていくと思われます。ぜひ早い時期に観測してみてください。

さそり座U周辺の星図
さそり座U周辺の星図。数字は恒星の等級(74=7.4等)を表す。画像クリックで表示拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

新星爆発のメカニズムと再帰新星

新星というと新しく星が生まれたように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、現代の天文学では、白色矮星と低温の伴星との近接連星で起こる爆発現象であることがわかっています。伴星から流れ込んだガスが白色矮星の表面に降り積もり、爆発的な核燃焼を起こすのが新星爆発です。

さそり座Uの様子
さそり座Uの様子(作成:高橋さん)

この爆発は白色矮星の表面での爆発であり、星全体が爆発するわけではありません。白色矮星を取り巻く降着円盤は一時的に消失しますが、1か月程度でまた元に戻り、その後はまた伴星からのガスが降り積もっていきます。そのため新星爆発は何度も起こると思われますが、通常その間隔は数千年から数万年くらいかかるので、日常的な時間感覚で考えると一生(あるいは観測史上)で1回しか爆発は見られません。

ところが、白色矮星の質量が大きく伴星が赤色星の場合などは爆発の間隔が短くなり、数十年ほどの間隔で新星爆発を起こすものもあります。これが再帰新星で、さそり座Uやへびつかい座RSなど10個あまりが知られています。