オーストラリアから速報!金環皆既日食
【2023年4月20日 アストロアーツ】
レポート:上山治貴(アストロアーツ)
コロナ禍の影響で、2019年の南米皆既日食ツアーを最後に、国内発の皆既日食ツアーは途絶えていた。だが日常が戻りつつある中で、日食にも人が戻ろうとしている。
今回の日食は、中心帯の始まりと終わりでは金環食、それ以外は皆既食となる金環皆既日食だ。皆既帯はほとんど洋上を通り、地上で皆既食が見られるのは西オーストラリアのエクスマウス周辺、東ティモール、ニューギニア島のインドネシア側に限られる。
多くの日食ファンは、天候の良いエクスマウスを選んだようだ。ここは小さなリゾート地で、宿泊施設が少ないため、当日現地入りというパターンが主流となる。個人手配でエクスマウスを目指した日食ファンも多い。場所がピンポイントで決まっているので、宿泊やレンタカーもインターネットで手配できる。便利な時代になったものだ。
今回は渡航制限が緩和されて間もないということもあり、団体旅行は少なく、星ナビ協賛ツアーも開催されなかった。筆者も最初は個人旅行を考えていたが、年度末が多忙なため準備に割ける時間がなかったので、便利な日食ツアーを利用させてもらった。羽田→シドニー(国際線)、シドニー→パース(国内線)、パース→カーナボン(バスで900km)、カーナボン→エクスマウス(バスで300km)と、4日かけての大移動となった。
エクスマウスでは国内外の日食ツーリスト用の観測場所、テント村と食事が用意され、至れり尽くせりの対応で安心して皆既日食を楽しむことができた。会場にはオーストラリア国内と海外の日食ファン(日本人が多い)が1000人以上集まり、皆既を迎えると大歓声となった。
今回の日食は金環皆既ということで太陽と月の見かけサイズがほとんど同じため、継続時間が約1分と非常に短いものだ。エクスマウスの天気は快晴、空はとても澄んでいて、高度55度に出現したコロナは、「純白」の輝きを放っていた。活動期のコロナ特有の全周に広がる流線が何本も絡み合い、美しさは際立っていたが、あっという間に終わってしまった。以下の画像はホテルに帰るバスの中でとりあえず処理したものではあるが、雰囲気が伝われば幸いである。
来年はアメリカ横断皆既日食が4月8日(日本時間9日未明)に起こる。多くの日食ファンと、最長4分半に及ぶ「月の影の中」を楽しみたいと思う。
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