星座八十八夜 #72 目立たず運の悪い、わき役の星座「かに座」

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〈かに座〉は黄道十二星座では、春の星座の一番手なのですが、明るい星がないために、見つけにくい星座です。中央には白く美しいプレセペ星団が輝いています。

【2024年3月22日 アストロアーツ

星座八十八夜

「スマホで楽しむ星空入門」より抜粋)

見どころ

この星座の一番の見どころは、力ニの甲羅(こうら)のところにあるM44プレセペ星団です。空気のきれいなところなら、肉眼でも見つけることができます。双眼鏡で見ると、星座の4つの星と星団が、双眼鏡の視野の中にすっぽりおさまって見えます。春の夜空で〈かに座〉をさがすときには、双眼鏡を使ってこのプレセペ星団を見つけてから、その周りの星座を作る星をたどるのもいいかもしれません。

かに座

星座の起源

3000年前のバビロニアの時代から、すでにこの星座の原型があったようです。プレセペ星団だけを指して「海の生き物」と呼ぶこともありました。ギリシアでもこれらの星の群れを〈かに座〉としていましたが、またそれとは別の話では、γ星とδ星をギリシア神話の火の神ヘパイストスと酒の神ディオニュソスのロバ、プレセペ星団をその2匹のロバたちが食べている飼い葉(かいば=ロバの餌)の桶と見ていました。「プレセペ」とはラテン語で「飼い葉桶」のことです。

海から遠い場所ではカニがイメージしにくかったためか、中世ヨーロッパでは「ザリガニ」と呼ばれることもありました。星座絵でもときどきロブスターの姿になっています(詳しくは星ナビ2020年5月号「かに座の蟹の正体」にて)。

黄道十二星座の一つで、6月22日~7月22日生まれの人の誕生星座です。

星座の物語

ギリシア神話におけるこの星座のモデルは、レルネの沼のアミモネの泉にすむ大きなお化けガニのカルキノスです。カルキノスは、凶暴なお化け水ヘビのヒドラ(後に〈うみへび座〉になった)といっしょに暮らしていました。あるとき、ヒドラとヘルクレスが戦いを始め、カルキノスはヒドラの応援をするつもりでヘルクレスの足をはさみました。ところが運悪く、あっという間にヘルクレスに踏みつぶされてしまったのです。この様子を見ていた女神ヘラは、快く思っていなかったヘルクレスヘの当てつけの意味も込めて、お化けガニを天に上げ、星座にしました。

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