東京から海路2時間で流星降る島へ

【2014年12月22日 星ナビ編集部／天本勝大】

ふたご座流星群の観測地は、宿泊した大島温泉ホテルの駐車場。クリックで拡大（撮影：天本勝大。12月14日22時34分から23時18分までの流星の写った13コマを星野基準で合成。シグマ 20mm EX F1.8→2.5　キヤノン EOS 60D　ISO 5000　露出各15秒）

放射点がどんどん高く上っていく効果も加わって、予報極大時刻の12月14日21時を過ぎても1分に1個以上の高い出現ペースが続く。ときには連続して数個飛ぶこともあり、2014年のふたご座流星群も期待を裏切らない活動をみせてくれた。撮影を始めたばかりのころは「あ、流れた！」「すごーい！」とあちらこちらで歓声が上がっていたが、しだいに「ウ～ン、今のは枠外か…」「こっちに流れて欲しいんだけどなぁ」といったぜいたくなつぶやきも聞こえてくる。ウェザーニューズのスタッフも「SOLiVEスター ふたご座流星群2014」のライブ中継で同行。番組中に多くの流星をカメラにおさめた。

火山と椿の伊豆大島までは、東京・竹芝旅客ターミナルから東海汽船のジェット船でわずか1時間45分。北には東京方面の光害の影響が残るが、大洋が広がるのみの南側はすばらしい星空が広がっている。本番前に「ふたご座流星群」とその撮影の講習会を開催。翌日は椿花ガーデンなど大島観光を楽しんだ。

東京からジェット船で2時間弱、伊豆半島沖に浮かぶ伊豆大島は火山と椿が有名だが、星空も名物のひとつ。今回の「ふたご座流星群撮影ツアー in 伊豆大島」の宿は三原山の中腹にある大島温泉ホテル。撮影で体が冷えたら露天風呂に浸りながら流星を眺めることもできる。観測場所となったホテルの駐車場は標高500m。島特有の風も時折強く吹いたが、朝までほぼ快晴という絶好の撮影条件に恵まれた。

クリックで拡大（撮影：大熊正美。12月14日22時53分から23時28分までの68コマ（各30秒露光）をコンポジット。ISO 3200　ビクセン ポラリエで追尾）

ツアー参加者のほとんどは天体写真経験が浅く、中にはカメラを手にして2か月という人も。オート化が進んだ最新のデジタルカメラは、ピントも露出も撮影後の画像処理までもカメラ任せでだいじょうぶだが、天体写真に限ってはその全てを手動で行わなければならないし、感度最優先で撮影に臨む流星写真は設定の最適化も難しい。夕食前の講習会では熱心にメモを取る方も多く、「流星の撮影にソフトフィルターは使うべき？」「放射点からたくさんの流星が飛び出すような写真を作るには？」「伊豆大島でも結露対策は必要？」といった質問も飛び交った。そして挑んだ撮影本番、「基本をしっかり守れば誰でも流星をとらえることができます」との講習会での大熊（月刊「星ナビ」発行人）の言葉どおり、デジタルカメラの背面モニターには次々と流星が映し出されていった。

撮影ツアーを主催したセブン旅ネット（株式会社セブンカルチャーネットワーク）とアストロアーツ／星ナビ編集部では、今後も「天体写真撮影講習会」や「画像処理講習会」を定期的に開こうと企画している。

12月14日20時台のオリオン座中心画角。クリックで動画へ（撮影：大熊正美）