コロナ禍の天文部映画「この夏の星を見る」が7月4日公開

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小説『この夏の星を見る』がこの夏映画化。天文ファンなら見逃せない星空シーンや共感ポイントが満載だ。

【2025年7月2日 星ナビ編集部

レポート:原 智子

辻村深月さんの青春小説『この夏の星を見る』(KADOKAWA)が映画化され、7月4日(金)に公開される。

物語は2020年の茨城(高校)、東京(渋谷区の中学校・高校)、長崎(五島列島の高校)の3か所を舞台に展開する。世界中がコロナ禍で不安と閉塞感に包まれていた時期、中高生たちは制限された学校生活の中でそれぞれに悩みを抱えていた。ヒロインは天文部夏合宿が中止になり打開策を模索し、寡黙な中学生は孤独感を募らせ、島の子どもたちは家庭環境の違いから溝が生まれていた。

そんな“不自由な青春”を慰め、新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれたのが「星空」だった。望遠鏡に天体を導入する速さを競う「スターキャッチコンテスト」をオンラインで行い、離れた場所にいる人々が「同じ星を見る」ことでつながる。劇中に登場する「スターキャッチコンテスト」は、物語のモデルになった茨城県立土浦第三高校で実際に行われてきたもので、発案者で科学部顧問の岡村典夫教諭は、映画製作にも深く関わっている。

この夏の星を見る 手作り望遠鏡を並べて、指定された星を探す「スターキャッチコンテスト」。かけ声に合わせて鏡筒の向きを一斉に変えるシーンは圧巻(© 2025「この夏の星を見る」製作委員会)

リアルな星空映像は岡村教諭と、星空シーンを担当した竹本宗一郎氏による綿密な天文監修によって実現した。竹本氏がどのようなテクニックを駆使して星空を撮影し、「映画作品として美しいシーン」に仕上げるVFXにこだわったのかは星ナビ2025年8月号にて。

この夏の星を見る

映画にはほかにも、車いす利用者が天体観測しやすいようにナスミス式望遠鏡を製作したり、超ロングフレーム構造の空気望遠鏡が登場したりと、天文ファンの心をくすぐるシーンがたくさんある。この夏は、映画館で野外で「星」を見よう。

映画『この夏の星を見る』

  • 2025年7月4日(金)全国公開
  • 原作:辻村深月
  • 出演:桜田ひより、水沢林太郎、黒川想矢、中野有紗、早瀬憩、星乃あんな、岡部たかし
  • 監督:山元環
  • 脚本:森野マッシュ
  • 主題歌:haruka nakamura + suis from ヨルシカ 「灯星(ともしぼし)」
  • 配給:東映

星ナビ2025年8月号

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