自宅から南天を本格撮影「リコリモ 天体撮影サービス」提供開始

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リコーは、誰でも気軽に日本語の操作画面を通じて、南半球の天体望遠鏡を遠隔操作し、自宅から南天の星雲や星団などを本格的に撮影できる「リコリモ 天体撮影サービス」の提供を9月16日から開始。

【2025年9月17日 星ナビ編集部

株式会社リコーは、社内起業家とスタートアップを支援するリコーの事業共創プログラム「TRIBUS(トライバス)2023」で採択された宇宙映像事業プロジェクトチームが開発した、誰でも気軽に自宅にいながら本格的な天体撮影を楽しめる「リコリモ 天体撮影サービス」(以降、リコリモ)の提供を9月16日から開始した。

「リコリモ 天体撮影サービス」のトップページ
「リコリモ 天体撮影サービス」のトップページ(提供:株式会社リコー、以下同)

近年、天体撮影は従来の専門的な機材を用いるコアなファン層だけでなく、一般のアマチュア層や若年層にも広がりつつある。一方で、望遠鏡や赤道儀など高額な機材の必要性、設置場所の制約、操作の難しさから、「始めたいがハードルが高い」と感じる潜在層も存在すると言われている。さらに、都市部を中心に、夜間でも人工光により夜空が明るくなり、天体撮影が難しくなっている。加えて、日本では天体観察に適した快晴日が少ないという気候上の課題もある。天体写真マニアの間では、日本よりシーイングが良く、望遠鏡の性能を活かし切ることができるという理由でリモート望遠鏡を活用するケースも増えてきた。

そのような課題に対して、手軽に多くの方が天体撮影を楽しめる、「宇宙の美しさを身近にする」ソリューションとして「リコリモ」は開発された。同サービスは、これまで有償PoCとして試験的に提供されてきたが、システムのアップデートを経て正式提供の開始となった。

リコリモは、日本語の操作画面を通じて、南半球に設置された天体望遠鏡を遠隔操作し、自宅にいながら南天の星雲や星団などを本格的に撮影できる天体撮影ポータルサイトだ。各望遠鏡は最短30分から15分単位で予約が可能で、希望する天体を好みの条件で撮影できる。

リコーでは、天体撮影を手軽に楽しめるこのサービスを通じて、宇宙の美しさをより多くの人に届け、誰もが宇宙を楽しめる世界の実現を目指しているという。なお、天文雑誌「星ナビ」では10月号から3号連続で「Deepな天体写真 リモート天文台活用(蒔田 剛さん)」を掲載している。11月号では、リコリモ天体撮影サービス」の紹介記事を掲載する。

■ 機能概要

天体撮影
  • オーストラリア・サイディングスプリング天文台に設置された天体望遠鏡をインターネット経由で遠隔操作し、自宅にいながら本格的な天体写真を撮影することができる。現在は50cm反射望遠鏡(RA501)と13cm屈折望遠鏡(RA101)の2台を使用。撮影は最短30分以上、15分単位で、Webサイトから簡単に予約可能。天頂付近まで昇る天の川中心部の星雲・星団や、日本では見られない南半球の天体も撮影することができる。

リコリモでの撮影例
リコリモでの撮影例(NGC 2070 タランチュラ星雲)

画像編集
  • 撮影した画像はクラウド上で確認でき、リコリモサイトの簡易画像編集ツールを使えば、ワンクリックでカラー画像として仕上げることが可能。難しい画像処理ソフトや専門知識がなくても、美しい天体写真を簡単に完成させることができる。もちろんRAWデータ(FITS形式)をダウンロードして「ステライメージ」などの本格的画像処理ソフトで作品に仕上げることも可能だ。

画像編集ツール
画像編集ツール

その他
  • 画像編集だけではなく、望遠鏡を設置しているオーストラリア・サイディングスプリング天文台の全天カメラの映像などのサービスも続々追加予定。

オーストラリア・サイディングスプリング天文台の全天カメラ映像
オーストラリア・サイディングスプリング天文台の全天カメラ映像

リコリモでの撮影例
リコリモでの撮影例(NGC 5128 ケンタウルス座A)

■ リコリモへの応援メッセージ
  • 「レンタルリモート撮像は限界を広げる新しい選択肢、何ができるかはあなた次第です」(天体写真家 岡野邦彦さん)
  • 「リモート撮影は、時間と天候の制約を解き放つ、夢のテクノロジーです」(Produce any Colour TaIZ代表(元キヤノン株式会社 画像技術開発センター所長) 蒔田剛さん)
  • 「リモート撮影の大きな可能性を是非体験してください!…きっとハマりますよ(笑)」(映画監督/フルドーム映像作品制作ライブ代表 上坂浩光さん)
  • 「リモート望遠鏡で変わる・面白くなる貴方の天文ライフ!ぜひ一度ご体験ください!」(天文リフレクションズ 山口千宗さん)
  • 「日本人の日本人による日本人のためのリモート天文台で、南天の華やかな天体を煌びやかな宇宙を、お高い機材を持たずに撮影できる、おうちにいながら感じられる。とっても素敵な時代になりましたね」(気象予報士・天体写真家 蒼月城さん)

リコリモでの撮影例
リコリモでの撮影例(NGC 3372 ηカリーナ星雲)