JAXAの小型実証衛星4号機、打ち上げ成功

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日本時間12月14日、JAXAの小型実証衛星4号機がニュージーランド・マヒア半島から打ち上げられた。

【2025年12月15日 JAXAロケット・ラボ

日本時間12月14日12時9分、ニュージーランド・マヒア半島にある米・ロケット・ラボ(Rocket Lab)社所有の第1発射施設から、JAXAの革新的衛星技術実証4号機の8つの技術実証部品や機器を搭載した小型実証衛星4号機(RAISE-4)がエレクトロンロケットで打ち上げられた。RAISE-4は所定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。

小型実証衛星「RAISE-4」の打ち上げ
小型実証衛星「RAISE-4」の打ち上げ(提供:Rocket Lab/JAXA

当初はイプシロンロケットの後継機であるイプシロンSロケットで打ち上げ予定だったが、ロケット開発の遅れのため、打ち上げ手段をロケット・ラボ社に変更した。同社は小型衛星の打ち上げに特化した企業として、米・スペースX社に次ぐ70回以上の衛星打ち上げの実績をもつ。来年1~3月にも再びエレクトロンロケットでの打ち上げが予定されている。

今後RAISE-4は2か月間の初期運用を経て13か月の定常運用へ入り、通信技術や水エンジン、宇宙ゴミ対策機構など、民間・大学・研究機関が開発した革新的な8つの技術の実証を軌道上で実施する。8つの実証テーマのうち6つは2022年に軌道への投入に失敗した革新的衛星技術実証3号機に搭載されていたもので、今回の打ち上げにより再チャレンジの機会が提供された。

■ RAISE-4に搭載された8テーマ(技術実証部品や機器)
  • 低軌道衛星MIMO/IoT伝送装置「LEOMI」(NTT株式会社/JAXA)
  • 民生GPU実証機「GEMINI」(三菱電機株式会社)
  • 水を推進剤とする超小型統合推進システム「KIR-X」(株式会社Pale Blue)
  • 小型衛星用パルスプラズマスラスタ「TDS-PPT」(株式会社高橋電機製作所/山梨大学)
  • 膜面展開型デオービット機構「D-SAIL」(株式会社アクセルスペース/サカセ・アドテック株式会社)
  • 発電・アンテナ機能を有する軽量膜展開構造物「HELIOS-R」(サカセ・アドテック株式会社/JAXA/東京科学大学)
  • 耐放射線地球観測カラーカメラ「CF-CAM」(マッハコーポレーション株式会社)
  • SOISOC活用オンボードAI物体検知機「AIRIS」(三菱重工業株式会社)

RAISE-4に搭載された部品や機器
RAISE-4に搭載された技術実証部品や機器(提供:JAXA)

JAXAの「革新的衛星技術実証プログラム」は、日本の宇宙技術の発展や宇宙産業の国際競争力強化などを計るため、2019年の小型実証衛星1号機を皮切りに、大学、研究機関、民間企業に対して、新しい宇宙技術実証の機会を提供している。このプログラムで実証された技術は衛星に搭載されるなど実用化が進んでいて、たとえば2024年1月に月面着陸に成功したJAXAの小型月着陸実証機「SLIM」月面で撮影した探査ロボット「SORA-Q」でも採用された。

革新的衛星技術実証4号機(小型実証衛星4号機)打ち上げライブ中継の録画(提供:JAXA/Rocket Lab)

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