超新星爆発を起こさずブラックホ―ルになった大質量星
【2017年5月31日 NASA JPL】
大質量の恒星は一生の最期に超新星爆発を起こし、その後でブラックホールになると考えられている。しかし、観測されるこうしたタイプの超新星爆発の頻度は、終末期を迎えた大質量星の数から考えるとずっと少ない。
米・オハイオ州立大学のChristopher Kochanekさんたちの研究チームは巨大双眼望遠鏡(Large Binocular Telescope: LBT)を用いて、7年かけて複数の銀河を対象とした超新星サーベイ観測を行った。その対象銀河の一つが、地球から2200万光年離れたケフェウス座の渦巻銀河「NGC 6946」だ。花火銀河の愛称で知られるこの銀河には比較的頻繁に超新星が出現しており、つい最近も明るい超新星2017 eawが見つかったばかりである(関連ニュース:ケフェウス座の銀河に13等の明るい超新星が出現)。
2009年、この銀河中にあった太陽の25倍の質量を持つ星「N6946-BH1」が輝き始め、数か月間にわたって太陽の100万倍も明るく光り続けた。しかし2015年に同じところを観測したところ、星の姿は見えなくなってしまっていた。
この星がまだそこに存在しているのかどうか確認するため、ハッブル宇宙望遠鏡や赤外線天文衛星「スピッツァー」で追加観測が行われた。単に暗くなった可能性や塵に隠された可能性も考えられたが、観測結果は星の存在を否定するものだった。最終的に、N6946-BH1はブラックホールになったはずだとの結論が導かれた。非常に明るい超新星爆発を起こすはずの大質量星が徐々に弱々しくなり、ブラックホールが残されたのである。
「N6946-BH1は7年間のサーベイでたった1つ見つかった、最期に超新星爆発を起こさなかったと思われる大質量星です。観測対象の銀河全体では普通の超新星が7年間で6つ現れましたから、超新星爆発を経ず静かに死を迎える大質量星は、全体の1~3割であると示唆されます。この割合は、『実際に観測される超新星爆発の数が、発生しているはずだと考えられる数より少ないのはなぜか』という疑問に対する答えかもしれません」(Kochanekさん)。
〈参照〉
- NASA JPL: Collapsing Star Gives Birth to a Black Hole
- MNRAS: The search for failed supernovae with the Large Binocular Telescope: constraints from 7 yr of data 論文
〈関連リンク〉
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