ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた原始銀河
【2010年1月22日 HubbleSite/ESA HST】
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が見つけた最遠方の銀河はとても小さく、現在の宇宙で見られる大きな銀河の「種」と考えられるそうだ。宇宙で最初に誕生した星のルーツに迫れるかもしれないという。
HSTが赤外線カメラ「WFC3」で2009年8月に撮影した「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(HUDF)」のデータを複数の研究チームが分析した結果、宇宙の原始時代と言える約130億年前に存在していた銀河が発見された。
英・エジンバラ大学の天文研究所のRoss McLure氏らの研究チームは29個の遠方銀河を検出し、そのうち12個はビッグバンから8.9億年程度、4個は7.8億年程度と、かなり早い時期の宇宙に存在する銀河であることを明らかにした。
同大学のJames Dunlop氏は「これらの銀河は、初期宇宙に誕生した星のルーツに迫るものかもしれません。HSTの観測の限度を超えた宇宙には、まだたくさんの銀河が存在しているに違いありません」と話している。
宇宙では、小さな天体が衝突と合体を繰り返し、より大きな安定した天体へと進化する。銀河も同じように小さなものから大きなものへと進化してきたと考えられている。今回発見された銀河の直径は、われわれの天の川銀河の20分の1ほどで、現在の宇宙に存在する銀河の「種」のようなものだという。
さらに、HSTとNASAの赤外線天文衛星スピッツァーのデータを合成することで、発見された銀河の質量と年齢が計算された。その結果について米・カーネギー研究所のIvo Labbe氏は、「天の川銀河のちょうど1パーセントです。驚いたことに、ビッグバンから7億年後の宇宙に存在していたこれらの銀河は、それよりさらに数億年前から星の形成を始めていたに違いないのです。これで、宇宙における最初の星形成の開始年代がさらに早まりました」と語っている。