10年以上前の画像から再発見された系外惑星
【2011年10月11日 NASA】
1998年にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像を最新のソフトウェアを用いて再解析したところ、3つの系外惑星が写っていることがわかった。最近のデータと比較することで、系外惑星の軌道や質量などさまざまなことがわかりそうだ。
系外惑星を直接撮影するのは、主星が明るすぎるために2008年になるまで成功していなかったが、画像処理ソフトウェアの進歩によって、昔の画像から系外惑星が写っていないかどうか確認することができるようになった。
今回この再解析の対象となったのは、ペガスス座の方向にあるHR 8799という若くて質量の大きい恒星を1998年に撮影した画像だ。この恒星は地球から約130光年の距離にあり、3つの惑星を持っていることが2007年と2008年にケック望遠鏡とジェミニ北望遠鏡で確認された。さらに2010年には4つ目の惑星が発見され、複数の惑星を持つことが直接撮像で確認できた今のところ唯一の恒星系でもある。
1998年にハッブル宇宙望遠鏡の近赤外カメラ/複数天体分光装置(NICMOS)で撮影した画像を2009年に再解析したところ、一番外側を回る惑星の検出に成功した。そして今回、改めて再解析を行ったところ、一番内側を回る惑星を除いたもう2つの惑星を検出することに成功したのだ。
複数の大きな惑星が存在していると、恒星と惑星や惑星と惑星の間で重力が働いているために、その軌道を特定することは非常に難しい。しかし、時間を空けて撮影された2枚以上の画像があれば、その軌道を推定することも可能になってくる。今回の再発見によって、これらの惑星の軌道や質量、離心率や軌道傾斜角を求めることができる。
今回再発見された3つの惑星の公転周期はそれぞれおおよそ100年、200年、400年くらいだろうと思われており、軌道上の動きを見るためには長い時間待つ必要があるが、今回のように10年以上前の画像があれば、今すぐ10年間での変化を見ることができる。一番外側の惑星の動きを見るには10年は少し短いが、それ以外の2つの惑星については動きがわかりそうである。
系外惑星を直接撮像するには、非常に明るい恒星に対して非常に暗い惑星からの明るさを区別しなければならず、いかに恒星からの明るさだけを取り除くかというのが問題となる。今回の研究では、近赤外線の領域で恒星に対しておよそ10万分の1の明るさの惑星を発見することに成功した。
同様の手法を用いれば、昔のハッブル宇宙望遠鏡の画像から今後も系外惑星を発見できると期待される。
ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示
ステラナビゲータでは、400個を超える「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、 HR 8799(中心の星)が存在する方向を星図に表示できます。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。なお、コンテンツ・ライブラリのデータでは、HR 8799は「V342 Peg」という名前で登録されており、四辺形の中(西寄り)に表示されます。