6日の「金星の太陽面通過」を安全に見よう!
【2012年6月1日 アストロアーツ】
5月21日の金環日食に続いて、6日には「金星が太陽の前を通過する」という、とても貴重な現象が見られます。「太陽を観察する」という点では日食の観察と同じ。注意点もほぼ共通していますが、長時間の現象ならではのポイントもしっかりおさえておきましょう。
ヴィーナスが通る
6月6日に起こる「金星の太陽面通過」は、これを逃すと次に見られのは地球上どこでも2117年まで待たなければいけません。天体観測史上これまで記録されているのが1639年を最初としてたったの6回分という、とても貴重な天文現象です。
日本では7時10分ごろから13時47分ごろにかけて、太陽の表面を小さな黒い点が少しずつ移動していくのが見られます。
詳しくは「金星の太陽面通過」特集ページへ。
日食のときと同じ 観察の注意点をおさらい
金星の太陽面通過を見るということは、そのまま「太陽を見る」ということ。先日の日食のときと同じように、太陽光で目を傷めないよう「日食めがね」を正しく使って見るなどの注意が必要になります。金星像はとても小さいので、ピンホールでは観察が難しいかもしれません。
- 決して肉眼で見ようとしない
- 双眼鏡・天体望遠鏡で見ようとしない
- 太陽観察用(「日食めがね」など)以外の代用品(サングラスや黒いビニール袋など)で見ようとしない
- うす曇りでも直接見ようとしない
- 「日食めがね」を、双眼鏡や天体望遠鏡と組み合わせて使わない
- 一眼レフカメラの光学ファインダーをのぞかない
金環日食特設サイト:安全な観察のための注意で詳しくおさらいしておきましょう。
日食観察による眼の症例報告
5月21日の日食観察によると見られる眼障害症発生状況の中間報告が、5月30日に発表されました。視力低下、違和感、ぼやけ、暗点などの目の異常を訴える人が546例、そのうち網膜の異常がみられたのは20例に及びました。
〈アストロアーツより〉
上記日本眼科学会の報告では、眼の障害が生じた例の観察方法として「日食めがね」や「カメラ」が挙げられています。これは、「日食めがね」やカメラでの観察が危険ということではなく、間違った使い方で観察したためです。
安全基準をクリアした「日食めがね」でも、着け外しのタイミングが悪かった、顔をきちんと覆わないことにより太陽光が入り込んでしまった、双眼鏡と組み合わせて観察した、といったことが眼を傷める原因になります。
またカメラについては、一眼レフカメラの光学ファインダーをのぞいたことが考えられます。減光フィルターを装着したうえで液晶ライブビューで目視するのであれば、機材や眼に対する害はありません。
アストロアーツ製「日食観察プレート」は「日食めがね」の安全基準をクリアしており、金星の太陽面通過を安全に観察することができます。使用上の注意をよくお読みのうえ、観察にお役立てください。
これもチェック! 長時間の現象ならではの注意点
1. 安全な「日食めがね」でも、じっと見つめない
金星を探そうとつい目をこらして見つめたり、動いていくようすをとらえようと長い間見続けたりするのは目によくありません。上の画像で時刻ごとの大体の位置を知っておくと見つけやすくなります。日食とは違い、見える間に刻々と変わる現象ではないので、時間をおいて少しずつ見ると金星が移動していくのがわかります。
2. 「日食観察プレート」での金星の太陽面通過撮影
金星の太陽面通過の撮影に「日食観察プレート」を簡易減光フィルターとして用いる場合、ごく一般的なデジタルカメラの望遠ズームやデジタル一眼カメラによる天体望遠鏡の直焦点撮影などでは、撮像素子にできる太陽像の単位面積あたりのエネルギーは可視光、赤外線ともに直射日光よりもはるかに小さいものになります。
したがって、撮影時にレンズを太陽に向けるだけなら、撮像素子やカメラそのものを壊すことはありません。
3. 長時間にわたって撮影する時の注意点
赤道儀や自動追尾架台で何時間にもわたって太陽を追尾をする場合には、上記2.の限りではありません。カメラ内部で熱が蓄積し、カメラに悪い影響を与える可能性があります。
特にミラーレス一眼カメラを使った望遠鏡直焦点での撮影や、コンパクトデジタルカメラによる望遠鏡でのコリメート撮影など、撮像素子が常に露出しているタイプのカメラでは、撮影していないときも撮像素子の同じ場所に太陽の光が当たり続けますので要注意です。
撮像素子の前にミラーやシャッター幕があるデジタル一眼レフでも、オートフォーカスやオート露出のセンサーに光が当たり続ける可能性があります。赤道儀や自動追尾架台を用いる場合、撮影していない時は追尾を止めるか、レンズ先端に光を透過しないカバーをかけておくことをおすすめします。