エンケラドスの重力場が示す地下の海
【2014年4月4日 ヨーロッパ宇宙機関】
水や氷を噴出することから、地下に海があると考えられてきた土星の衛星エンケラドス。探査機「カッシーニ」の重力場測定により、地下に水が存在する可能性が高まっている。
土星の衛星エンケラドスは、その表面を氷で覆われた直径500kmの天体だ。南極付近では氷や水蒸気がジェットのように噴き出していて、地下の海がその供給源となっているのではと推測されてきた。土星の周囲を公転する間に潮汐力でエンケラドス全体がきしみ、天体内部が温まることで液体の水ができると考えられている。
探査機「カッシーニ」の重力場測定から、地下の海の存在を裏付ける新たな証拠が得られた。カッシーニは2010年から2012年までに3回、エンケラドスから100km以内まで接近通過している。カッシーニがエンケラドスから受ける重力は地殻の密度や地形に応じて変動し、航行速度に影響する。測定では秒速0.2〜0.3mmの変化がとらえられた。
この測定結果を付近の地形や温度データと合わせると、エンケラドスの南極付近には密度の高い領域があることがわかった。氷と比べて密度が7%高い液体の水が存在する可能性が高いという。地下の海が地表から30〜40kmのところにあり、南緯50度まで広がっているとみられる。
南極の噴出口はどのように形成されたのか。地下に海があるのなら、生命を育みうる環境なのか。尽きない謎に、また一歩大きく迫る成果となった。