星ナビ機材セレクション
みんなが待っていた経緯台の決定版
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※2008年7月、ポルタシリーズは改良型のポルタIIシリーズに切り替えられ、価格も改定されました。基本的な操作に変更はありません。
2005年7月20日
水平・垂直軸ともにフリーストップで、ウォームホイルの全周微動を装備した傾斜アーム型片持ちフォーク式経緯台の「ポルタ」が、ビクセンからリリースされた。入門機的な鏡筒を搭載するには充分な機能をしっかり盛り込みつつも、経緯台ヘッドとアルミ三脚のセットが、実販1万円台後半というきわめて安価な価格設定である。そんなポルタをさっそく試用してみた。
貴重な存在の手動経緯台
今年の春に開催されたフォトイメージングエキスポ2005にて、参考出品されていたビクセンの新型経緯台「ポルタ」が、いよいよ発売となった。ビクセンからはカスタムなど、天体望遠鏡向きのシーソータイプ経緯台や、大型双眼鏡用にリリースされたHF経緯台などがラインアップされていたが、ポルタは過去のビクセン製品にはなかったタイプの経緯台である。
ポルタを一言で表すとすれば、基本にきわめて忠実な造りの手動式経緯台である。近年発売される経緯台といえば、その多くが両軸モーターを内蔵したものなので「手動式」はかえって新鮮に見える。
外観は、きわめてシンプルな片持ちフォーク式である。アルミ製の伸縮式三脚の上に水平軸が載り、さらにその上にアームと垂直軸が配置される。アームは天頂付近に死角ができないように、水平軸上のベース部分から45度傾いて立ち上がっているタイプで、垂直軸が水平軸の真上から大きくオフセットしている。アームとアームが取り付けられているベース部分は、アルミダイキャスト製だ。アームは厚みもじゅうぶんで、かなりの強度がある。アームとベース部分は、一見、単一のユニットのようだが、実際は2パーツで構成され、組み上げられてからまとめて塗装されている。
回転軸は水平軸、垂直軸ともにウォームホイルを用いた全周微動だが、粗動はクランプのフリクションによるフリーストップを採用している。水平軸と垂直軸のユニットは同一のもので、ウォームギアの軸の先端に短い直棒タイプの微動ハンドルが取り付けられる。ベアリングは使用されていないが、回転は実用上、十分ななめらかさで、垂直軸も鏡筒前後のバランスを正しく取っておけば、微動ハンドルの回転が重いということもない。
また、垂直軸ヘッドには、GP2赤道儀やスフィンクス赤道儀と同じ幅のアリミゾ台座が装備されていて、鏡筒を簡単に脱着できる。アリミゾ台座は横向きに垂直軸へ直付けされていて、垂直軸と鏡筒の光軸が直交する位置関係で鏡筒を取り付けることができる。したがって、シーソータイプの経緯台のように鏡筒の仰角によってバランスが大きく崩れることがないので安心だ。塗装色は、同社のスフィンクス赤道儀やGP2赤道儀に合わせたホワイト塗装である。したがって、現行のビクセン製鏡筒は、デザイン的にも違和感なく搭載可能だ。ただし、搭載鏡筒は外径155mmまで対応可能という仕様である。
三脚は、アルミダイキャスト製の架頭部とプラスチック製の開き止めを装備したもので、伸縮脚のロックは脚1本につきロックネジが1本のみだが、最大に伸ばしてもかなり頑丈なものだ。
ポルタの持つもうひとつの大きな特徴は、その販売価格である。三脚を含めた経緯台単品の定価は、税込みで21,000円。もちろん、望遠鏡販売店やカメラ量販店では値引き販売され、店頭実販価格はわずかに1万円台後半というきわめて安価に供給されている。生産拠点を人件費の安い海外に移しての結果と思われるが、ユーザーにとってはうれしい限りである。