星ナビ 2008年9月号
レポート/川村 晶+星ナビ編集部
2008年10月20日
きわめてシンプルな伸縮機能
SE 300Dの鏡筒は、完成品としてユーザーの元に届くが、架台部は組み立て式である。組み立ての難易度は、一般的な小型の組み立て式家具と大差ない。大人なら、ひとりでも問題なく組み上げることができるだろう。実際に組み立てに必要な時間は1時間ほどだ。
また、垂直軸になる耳軸は、他の多くのドブソニアンと同様に鏡筒に固定されているタイプである。したがって、鏡筒前後のバランスが多少悪くてもスムーズに動かせるような機構が必要だ。ここは、耳軸の径を大きくしてフリクションをかせいだり、耳軸を軸受けに押しつけるテンションスプリングを配するなど、各メーカーのアイディアの見せどころでもある。SE300Dでは、耳軸中心にハンドル付きのネジを取り付け、ネジの締め付けで耳軸の側面を架台の側板に押しつける力を加減して、そのフリクションで鏡筒の動きのスムースさをコントロールするようになっている。そのため、架台部の側板は耳軸の側面を覆う形状で、耳軸は側板の内側に取り付けられた2本の円筒形をした樹脂製突起によって支えられている。
水平軸には、地面に設置する円板と鏡筒を支える側板の乗った円板の間にスラストニードルベアリングが組み込まれ、スムーズに回転させることができる。
伸縮機構部以外の鏡筒各部は、メーカー製ドブソニアンの一般的な仕様といえる。主鏡セルは9点支持のシースルータイプで、主鏡の脱落防止に前面から3か所をゴム製のツメで押さえている。また、エンドリングには光軸調整用の3組の押し引きネジによって固定されている。