夏の定番天文現象「ペルセウス座流星群」。今年も8月12~13日を中心に、活発な活動が見られそうです。
一番の見ごろとなる13日未明から明け方は、月明かりがなく放射点が高いという好条件がそろい、1時間あたり50個ほどの流れ星が飛ぶと期待されます。
安全やマナーに気をつけて、ぜひ星空を見上げ、流れ星を待ってみましょう。
目次
ピークは13日未明~明け方
2021年のペルセウス座流星群の活動が最も活発になる「極大時刻」は、8月13日4時ごろと予想されています。つまり、13日の未明から明け方にかけてが一番の観察チャンスとなります。
見える数の予想
13日未明から明け方にかけて、街明かりがなく見晴らしが良いところでは、1時間あたり50個前後の流れ星が見えると予想されます。今年は「月明かりの影響がない」「極大時刻が夜間(明け方)で、その時刻のころに放射点(›› 解説)の高度が高い」という2つの好条件がそろうおかげでとても見やすく、多くの流れ星が期待できます。
※日本でのペルセウス座流星群の極大時刻は「8月12日22時ごろ」「13日4時ごろ」「同10時ごろ」「同16時ごろ」を4年サイクルで繰り返します。夜間にあたるのは12日22時と13日4時ですが、12日22時は放射点が低いので、放射点の高さという点で今年のパターンである13日4時が最良です。これに月齢の条件を加えて、各年の見え方が変わります。
活動の度合いが同じ場合は放射点の高度が高いほど流れ星が多く飛びます。ペルセウス座流星群の放射点は夜明けが近づくにつれて高くなるので、極大時刻の条件との相乗効果で、13日明け方が最も楽しみな時間帯となります。東日本では薄明が始まる3時30分ごろ、西日本では極大予想の4時ごろがハイライトになりそうです。もちろん、極大の前の時間帯、放射点が低い時間帯でも流れ星は飛ぶので、12日深夜から13日明け方にかけてなるべく長い時間にわたって観察してみましょう。
また、前後の日に観察すると見える流れ星の数は減りますが、普段の(活発な流星群のない)時と比べれば流れ星を目にできる可能性が高い時期です。7月末から8月初めごろは他の小規模な流星群の活動が複数あるおかげで、ペルセウス座流星群に限らず流れ星が見やすくなります。ぜひ星空を見上げて流れ星を待ってみましょう(今年は8月8日が新月なので、月明かりの影響が小さく好都合です)。
郊外などでは街明かりや視界の広さ、空の透明度などが見え方に影響するため、流星数は空の条件の良いところに比べて半分から3分の1ほどになります。ペルセウス座流星群の流れ星は明るいものも多いので、市街地でも1時間あたり数個は見えるかもしれません。詳しくは下記リンク先などを参照してください。
参考リンク:
- 2021年のペルセウス座流星群の情報(日本流星研究会 佐藤幹哉さん)
日にち、時間帯、空の条件に応じた個数予想など - ペルセウス座流星群解説(日本流星研究会 内山茂男さん)
極大前後の出現状況など - ペルセウス座流星群の観測条件(流星電波観測国際プロジェクト)
他の年の条件や、昼でも観測可能な電波観測について - ペルセウス座流星群 天体写真ギャラリー 【2021年】 【2020年】 【2019年】(アストロアーツ)
観察のポイント
空を広く見渡そう
流星群の流れ星は放射点を中心として四方八方に飛びますが、これは「放射点の方向にだけ流れ星が飛ぶ」ということではなく、「流れ星の光跡を反対に(流れ始めた方向に)たどっていくと放射点に到達する」ということです。つまり実際には、流れ星は方角や高さに関係なく、空のあちこちに流れます。
したがって、放射点の方向だけを見るのではなく、広い範囲を見ることがポイントです。広場や校庭、河川敷など視界の開けたところが観察に適しています。集中しすぎると視野が狭くなってしまうので、なるべくリラックスして空を広く見渡すようにすると良いでしょう。街灯などがある場合は、そこから離れた方向を中心に眺めると見やすくなります。また、一般的に低空は街明かりや大気の影響を受けて見え具合が悪くなるので、高いところを眺めるほうが流れ星を見つけやすいでしょう。
15分くらいは見続けてみよう
1時間に60個の流れ星が見えるとすると、計算上は平均して1分に1個のペースで見えることになりますが、流れ方はランダムですので、立て続けに数個見えることもあれば10分以上も見えないことも珍しくありません。1つも見えないからと数分で諦めるのではなく、15~20分くらいは見上げてみましょう。
この時期、明け方の西の空には「夏の大三角」、天頂付近には「秋の四辺形」、南の空には「くじら座」、北から東の空には「カシオペヤ座」や「プレアデス星団(すばる)」などが見えています。ゆったりと星々を楽しみながら、流れ星が飛ぶのを待ってみてください。
モバイルツールでシミュレーション
流れ星を待つ間は、星座探しをしてみましょう。iOS用の「iステラ」や「iステラ HD」、アンドロイド用の「スマートステラ」などのモバイルアプリを使えば、星や星座の名前がすぐにわかります。シミュレーション画面にも流れ星が飛ぶので、空の様子を想像することもできます。
※まぶしくないように、画面の明るさを調整しておくとよいでしょう。
iOS/Android用アプリ「星空ナビ」では、流星を見つけたらみんなで共有して楽しむ機能を期間限定で提供しています。星の名前を調べたり星座を確認したりすることもできます。基本無料でご使用になれます。
「星空ナビ」
そのほかのポイント
- 流れ星を観察するために長時間夜空を見上げ続けていると首が痛くなります。アウトドア用のチェアやベッドがあればベストですが、安全な場所であればグラウンドシートに寝転がって見るのも快適です。
- 場所によっては蚊の襲来に悩まされることがあります。虫除けを用意しましょう。また、夜間は意外と冷えることもあるので、念のために防寒の準備もしておきましょう。
- 大騒ぎしない、車や足元に注意する、子供だけで行動しないなど、マナーや安全にもじゅうぶん気をつけましょう。新型コロナウイルス感染症対策(人同士の間隔を空けるなど)も心がけてください。
流れ星が見える仕組み
ペルセウス座流星群とは
一年のうちある決まった時期に、星空の中のある点の付近を中心として流れ星が飛ぶ現象が流星群です。流星群は現在約110個が知られていますが、ペルセウス座流星群はしぶんぎ座流星群(1月4日ごろ)、ふたご座流星群(12月14日ごろ)とともに「三大流星群」の一つとして数えられる、活動が活発な流星群です。
ペルセウス座流星群は、毎年8月13日前後に多くの流れ星が飛びます。活動が安定しており、ほぼ期待どおりに流れ星を見ることができます。寒くないことや夏休みの時期に当たることも、流れ星観察には好条件です。
地球が塵の集まりとぶつかると、流星群の流れ星は雨のように平行に降ります。平行に飛び込んでくる流れ星が放射点を中心として放射状に流れるように見えるのは、一直線の道路の両端が遠方の一点から伸びてきているように見えるのと同じ理由です。
塵が宇宙空間を同じように移動した場合の、流れ星の見かけの動きを考えると、放射点付近では経路が短くなり、放射点から離れるほど経路が長く見えます。とくに放射点では、流れ星は観察者に向かってくるように見えます(静止流星と呼びます)。
※放射点付近では必ず短くなりますが、放射点から離れれば必ず長くなるとは限りません(塵の動きが小さければ、放射点から離れていても経路は短くなります)。
ペルセウス座流星群の起源
塵を放出して流星群の原因となる天体を母天体と呼びます。この母天体の軌道と地球の軌道が交差していると、毎年同じ時期に地球がその交点付近を通る際に、塵の集まりと地球がぶつかることになります。したがって、流星群の流れ星は毎年同じころに同じ方向から飛んでくるように見えるのです。
ペルセウス座流星群の母天体は、約135年周期で太陽系を巡っているスイフト・タットル彗星(109P)です。現在スイフト・タットル彗星は地球から遠く離れたところにありますが、彗星から放出された塵は彗星の軌道上に広がって分布しており、彗星と同じ軌道を運動しています。そのため、ペルセウス座流星群の流れ星は彗星の位置にかかわらず毎年多く見られます。