【1999年11月19日 UPDATE】
以上を踏まえて、この11月に注目であった2つの流星群の天気を予想してみました。ひとつめは、本命のしし座流星群。そしてふたつめは、もしかしたら突発出現があるか!? と予想されていたリニア彗星関連流星群です。予想はなるべく頻繁に更新する予定でいます。
ただし、筆者は気象予報士の資格を持っているわけでもなく、正式な予報は出せませんので、ここでの記載はあくまで一個人の見解としてお受け取りくださるようお願いします。
まずは、本命のしし座流星群です。昨年は晴れ間を読むのがむずかしくスリリングでした。今年の天気はどうなるでしょうか?
富士山の上に流れ落ちるしし群の流星
11月19日2時撮影
「Part-8 暫定版
今年のしし群の日の天気はこうだった!」を新設しました。当日の天気の推移については、その一部をここに書きました。
ヨーロッパ上空でしし群が大出現しました。アメリカからのしし群ライブ中継でも、明るい流星がかなり飛んでいます。いてもたってもいられなくなり、今晩もしし群を見に、急遽富士山に出かけることにしました。今晩なら、天気も問題ないでしょう。
いよいよしし群当日です。今日は晴れ間をいかに捕らえるかが勝負となりました。ひまわり画像のリンク先をUPDATEしましたので、御参考ください。
それでは、みなさんの見に行かれるところに晴れ間がくることを祈ります。
・天気の進みはやや早まる
まずは気圧配置の推移からです。今晩から明日17日、明後日18日の朝にかけての気圧配置はだいたい予想どおりですが、昨日の予想よりやや早めに推移しそうです。今日木枯らし1号となった強い冬型の気圧配置は、明日の未明まで。明日の日中は移動性高気圧に覆われますが、この高気圧は足早で、明日の昼間に日本上空を通り越え、夜には日本の東海上に抜けてしまいます。また、日本海に発生する弱い低気圧が西に進むことから、西日本では高気圧の西側の雲にこの低気圧の雲が重ってくるでしょう。
・地域ごとの天気分布 -
雲域と晴天域がまだら状に分布しそう
天気分布も昨日の予想よりやや早めになります。西日本・東日本の太平洋側では、晴れ間は明日の日中までで、夜に入ると雲がかかってくるでしょう。西ほど早い時間からに曇ってきますが、必ずしも西から順々に曇ってくるというわけでもないようです。晴れの領域と曇りの領域がまだら状になって進んでくるかんじです。ただし、西日本の九州・中国地方では、未明には雲が厚く、場所によっては雨が降り出してくるでしょう。
これに対し、西日本から北日本の日本海側では、早い時間は冬型の影響が残り、また夜半すぎには日本海を進む弱い気圧の谷の影響でその後曇るのも早いので、晴れ間の時間はそんなに長く続かないかもしれません。
北日本でも晴れ間は夜半前まで。その後は晴れ間と曇りがまだら状に分布することになる見込みです。
以上をまとめると、もっとも曇りやすいのは、中国・九州地方。次が日本海側で、西日本から北日本の太平洋側は曇りと晴れ間が混在といった感じになります。
いまのところ、もっとも晴れ間が続きそうなのは、北海道の道東の太平洋側となっています。これは偶然かもしれませんが、この地域は「Part-1
統計的な雲量分布」で書いたの「しし群がもっとも流れる時間帯
− 11月18日3時の雲量」晴天率の高い地点と一致しており、今見返してみるとハッとしてしまいます。
・いかに晴れ間を読むか
したがって、今回のしし座流星群の天気も、先日のリニア流星関連群と同じく、“いかに晴れ間を読むか”というところが焦点になってきました。
晴れ間の予測には、「Part-6 “使える”Web
上の気象情報」の36時間後までの予想卓越天気メッシュ予報の各サイトが使えます。晴れ間のメッシュ分布を見たいのなら国際気象海洋の卓越天気・降水量・降水確率図の予報ガイダンスにある、予想卓越天気メッシュ予報が使えます。ピンポイントで行く先の天気の時間推移が見たいのなら、都市域はWeather
asahi.comの各都市の天気、空の暗いところならウェザーニューズ
CyberWeatherWorld の オートキャンプ情報、ゴルフ情報、マリン情報、釣り情報、天気の変化をアニメーションで見たいのなら、TBS
Weather
Guide の メッシュ予報アニメが使えます。ただし、天気の分布は刻々と変化していますので、明日以降の決め手は、やはり決めては、やはり気象衛星ひまわりの雲画像でしょう。詳細に晴れ間を探す、雲の分布をアニメーションを見ながら予測するのに使えます。その際には、ただ単に雲の位置を平行移動するだけでなく、天気図から得られる高低気圧・前線の移動方向とその発達衰弱傾向の情報を加味します。
・テレビの天気予報に注目
とはいっても、やはり頼れるのは日頃見ているテレビの天気予報でしょう。もっとも労せずに“濃い”気象情報を流してくれます。昨年は天気予報の枠内にて、しし群を見るにはどこがよさそうか特別に予想している番組を多く見かけました。今年もしし群特別天気解説があることを期待しましょう。
1日の中には気象庁からの発表に合わせて、各局の天気予報が集中する時間帯があります。早朝、7時前後、12時前、19時前、21〜23時です。19時前以降は名物天気キャスターが登場したりして、各局特色ある予報合戦が繰り広げられます。ですが、17時の退社後すぐにしし群を見に出かけるとなるとすでに移動途中の時間かもしれません。12時前各局と15時NHKの天気予報が判断の分かれ目になることでしょう。もし、すでに出かけた後でしたら、小型の液晶テレビを使うという手もあります。
・防寒体制はしっかり
また、以前から予測していた通り、明日の晩がひじょうに寒いのはまちがいありません。寒気がいちばん強くなるのは明日の明け方なので、今晩よりはいくらか寒さはやわらぎそうです。が、それでも札幌上空約1500m(850hPa)で6℃、つくば市の館野上空で8℃近く平年より寒くなる予想です。足元を含めた充分な防寒体制を取りましょう。
・モバイルPCは最新画像に直接ブックマークを張っておく
「Part-4 観測地決定への道」に書きましたとおり、モバイルPCにてWebの気象情報にアクセスする場合は、今のうちに、最新気象情報の画像に直接ブックマークを張っておくとよいでしょう。
・持っていく機材は今日のうちに予行演習、当然ながらフル充電
またもし、日頃モバイル通信をあまりこなしていないのでしたら、今晩のうちに予行しておいたほうがよいです。私は、先日のリニア彗星関連群を見に行ったときに、携帯電話で通信しすぎて電池がなくなってしまい、急遽グレーのISDN公衆電話を探すことになってしまいました。現地のアクセスポイントを登録していなかったため、電話代が高くついてしまい、また、いちばん近いアクセスポイントを設定するのに手間取ってしまいました。各プロバイダに必ずあるアクセスポイント一覧のページを、あらかじめコピーしておけばよかったです。
また、当然ながら、各種バッテリーはフル充電しておきましょう。
・ミラーサイトにリンクを張る
いよいよしし群を明日に控え、ここアストロアーツのサイトもアクセスが急増してきました。昨年のしし群の日にはアクセスが集中し、トップページすらもほとんど見ることができませんでした。その教訓を生かし、今年はしし群特集に限り、臨時にミラーサイトを設けました。この気象情報のページもミラーサイトに載りますので、今のうちにぜひミラーサイトのほうへブックマークを張り直しておくことをオススメします。これは、アストロアーツに限らず有名どころの天文サイトにも当てはまります。
しし群特集'99 (アストロアーツ ミラーサイト)
http://www3.tokyoweb.or.jp/astro/special/leo99/index-j.html
しし座流星群気象情報(アストロアーツ ミラーサイト)
http://www3.tokyoweb.or.jp/astro/special/leo99/leonisweather/index-j.html
・交通渋滞・交通事故には気をつけて
昨年は天気を見て動いた人が多く、交通渋滞や交通事故が問題となりました。事故に遭ってはもともこもありません。今年は、充分な配慮をお願いします。
・水星日面通過はみられず
最後に、本日日の出時にありました水星の日面通過は、東京区部からはやはり雲に阻まれ、見ることができませんでした。北関東では晴れたところもありましたが、やはり地平線から昇る太陽をとらえることはできなかったようです。今のところ編集部には見えたという報告は届いていませんが、西日本では見えたところがあるかもしれません。
今日はここまでです。明晩はぜひともうまく晴れ間にめぐりあい、またたくさんの流星にもめぐりあえることを期待したいところです。明日は、もしかしたら昼過ぎにもう一度更新できるかもしれません。
明日は、いよいよしし群前日です。「Part-4 観測地決定への道」の「2,3日前」を参考に、動きの激しくなった天気の状態をつかんでください。去年はしし群前日から各局の天気予報にてしし群向けの天気解説がはじまりました。今年も、しし群専門の天気解説があることに期待したいところです。
また、明日16日の日の出時には“水星日面通過”がみられます(SKYWATHCR1999年11月号p.106参照)。今日本を通過している低気圧は明日朝には東に抜ける見込みですが、日本からはそれほど離れないようです。36時間後までの予想卓越天気メッシュ予報トでは、この時間低気圧の抜けたあとの晴れ間を予想しているサイトもありますが、太陽はこの低気圧の雲越しに昇ってきますので、地平線から昇る太陽が見えるかどうかは微妙なところでしょう。西日本ほど条件がよいと思いますので、この件に関しても最新の気象情報に注目です。
いずれにせよ、今後の天気に目が離せなくなってきました。しし群当日まで残すところあと3日。明日15日には、「Part-4 観測地決定への道」に書きました、「2,3日前」の状態に入ってきます。国際気象海洋などの36時間後までの予想卓越天気メッシュ予報をしている各サイトにて、どのような予想が発表されるのかに注目です。
昨日予告しました、“晴れるハズなのになぜか曇ってしまう”ことについては、気圧配置が変化してしまったため、また折を見て書きたいと思います。
ここ以外にも、しし群の日の天気を扱うところがあるのがわかりましたので、紹介したいと思います。@niftyの天文フォーラム「FSPACEI」では、しし群の天気予報を扱う専門の会議室が臨時に開設されています。天文フォーラムインドア交流館10番会議室“気になる17〜18日の天気情報”です。ホンモノの気象予報士の方によるくわしい週間予報解説などの発言があり、ここよりさらに詳しく確実な情報を得られます。@niftyにアクセスできる方はぜひご覧ください。
また、日本流星研究会のWebPageにても、臨時のリンク集“しし座流星群極大夜のお天気情報”が開設されています。
どうやらしし群の夜は“晴れる気圧配置”になりそうです。次回は、こういうときにある“晴れるハズなのになぜか曇ってしまう”ことについて書きたいと思います。
つぎは、もしかしたら突発出現があるかも!? と予想されていた、リニア彗星関連群です。どうしてもしかしたら、なのか? そもそもリニア彗星関連群とはなに? ということについては、天文ニュース「11月12日に新流星群か?」をご覧ください。ここでは、ほんとうに出現するかしないかは別として、しし群の前哨線として、天気の予想をしてみようという趣旨で書いてきました。
これまで、「リニア彗星突発群」と表記してきましたが、あえて書くなら「リニア彗星関連群」とする方がよいようです。以後このように表記を変更したいと思います。
昨晩出かけたのは、結局最後のひまわり画像のチェックをしたあとの21時すぎでした。行く先は、昨日の“南の方がよいかも”という予想結果から、房総半島の九十九里浜にとりあえず決め、途中と現地についたあとにインターネットにアクセスして、雲画像を見ながら最終的な観測地を決めることにしました。
途中のサービスエリアにて、モバイルPCで雲画像をチェックすると、予想どおり雲がバラけ雲間ができてきていることがわかり、期待が持てました。九十九里浜には午前1時前につき、もしさらに南に行けば晴れそうなら動くつもりでいたが、ひまわり画像でも空を見上げても、移動してもあまり変わりなさそうでしたので、一晩そこで見ることに決めました。
雲のようすは、上層に薄い雲がかかり、その下の中層のややムラムラした雲が部分的にかかる状態。1等星と惑星のみが薄い雲をとおして見えるか、全天中層の雲に覆われ星が見えない、と言った状態が続きました。それでも、1時台と2時ごろ、3時30分ごろには、すっきりと雲が取れ、全天の2/3で5等星まで見ることができました。
そんな中、4時11分にわずかな雲の隙間に短経路の流星が走るを見えることができました。流星が流れた経路を元にたどると、3時30分ごろの晴れまで確認した北斗七星の位置よりやや上の方。ちょうどリニア群の放射点の位置から流れたように思えました。
極大の予報は、4時40分でしたので(天文ニュース「11月12日に新流星群か?」参照)、もしかしたら、これからたくさん流れるかも、と期待したのですが、それ以降は雲が厚くなり、結局夜明けまで見えた流星は、それひとつのみでした。
私の見た流星は、本当にリニア群なのか? そもそもリニア群という流星群が存在したといってよいのか? については、そのとき恒星が見えていませんでしたし、見た流星はひとつだけですので、なんともいえないところです。ですが、個人的な満足かもしれませんが、見える確率が低い中、今回あえて見に行ったかいはあったと思っています。
というところで、次回は昨晩の天気のことについて、もう少しくわしく書いてみたいと思います。
今晩の気圧配置は「Part-3
気圧配置と晴天域の関係」の分類から言えば、「気圧の谷(低気圧通過)」。低気圧から伸びる温暖前線の東側や南側の雲の中に日本の多くの地域が入ります。この領域では、低気圧に吹きこむ南からの湿った風が入ります。山地では山の斜面をこの風が駆け上りますので、雲が出やすくなります。なので、今回は平地で見た方がよいでしょう。
低気圧の動きは、時速35kmで北北東進。なので、雲の分布は今の状態からやや北にズレながら東に移動してくるでしょう。ただし、低気圧は発達傾向ですので、今よりも雲域はやや拡がってくるように可能性が高いです。低気圧の中心は明日9時の予想天気図では日本海中部。なので、もし大きく晴れ間が開くとしたら、南の方、紀伊半島から房総までの太平洋岸でしょう。だだし、あまり期待はできないことに変わりはありません。
ひまわりの赤外画像を見ると低気圧の雲の中にも濃淡があります。もし今晩インターネットにつなげるのでしたら、1時間ごとに送られてくるひまわり画像を見てみましょう。数十km単位の晴れ間が見つかるかもしれません。100km以上晴れ間が出てきたら、期待大です。ただ、ひまわりの赤外画像は低空の雲はとらえにくいので、低い雲の有無は自分の眼で見て確認します。
また低気圧の中心から伸びる前線の南側では一般的に雲がムラムラで、雲量が多くても雲の隙間がのぞくことが多いです。このへんも、実際に空を見上げ、べたーっと一分の隙もない雲か、雲間に星が見えるか見てみましょう。
SKYWATHCRで今月12月号まで長年流星観測ガイドを担当なされてきた、日本流星研究会の泉潔さんは、低気圧の通過真っ只中にあった昨年のしし群の前の夜に晴れ間を見つけ、数多くの流星の観測に成功なされています。その数は、しし群の17-18日の晩よりも、数が多かったといいます。低気圧通過といえども、まったくあきらめてしまうことはないのです。ひまわり画像と実際に自分の目で見た雲のようすから判断して、晴れ間がのぞくことを期待しましょう。
それでは、少しでも晴れ間がのぞくことを期待しながら、今日はここで終えることにします。明日は、筆者が今晩どう動いて、その結果リニア群が見えたかどうかについて、報告する予定です。