さそり座に新星が出現

このエントリーをはてなブックマークに追加
5月13日、天の川銀河の中心方向に近いさそり座の領域に新星が出現した。

【2019年5月27日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

天の川銀河内の新星は天の川の中心方向に多く発見される傾向があるため、さそり座やいて座が見える季節になると新星の発見が多くなります。そのような星座の一つであるさそり座の中に、新たな新星が発見されました。

新星を発見したのは、米・オハイオ州立大学を中心とするAll-Sky Automated Survey for Supernovae(ASAS-SN)のグループで、5月13.34日(世界時、以下同)に撮影された画像からgバンドで16等の新天体ASASSN-19moを発見しました。

この天体は14.19日には14.9等、15.18日には13.8等とその後もゆっくりと増光を続け、17日以降は13等ほどでほぼ一定の明るさで観測されました。vsolj-obs MLなどに報告された多色測光のデータによると、この天体はV-Icの色指数が2.0等ほどと赤い色をしており、Vバンドでは12等台で観測されました。この天体の位置(Gaia DR2の対応天体の位置)は以下のとおりです。

赤経  17h07m34.17s
赤緯 -36°08′23.2″(2000年分点)

確認観測画像
確認観測画像(撮影:清田誠一郎さん)

さそり座の新星の位置
さそり座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

5月22.12日に南アフリカのSALTによって分光観測が行われ、P Cygniプロファイルを持つ水素のバルマー系列や1階電離した鉄、中性酸素やナトリウムの輝線が見られることがわかりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であると判明しました。

これまでのところ、この天体は眼視やVバンドでは12等台半ばの明るさで観測されており、17日以降は大きな光度変化を示していません。今後もこの傾向が続くのか、それともさらに明るくなるのか、今後の明るさの変化が注目されます。