いて座に今年4個目の新星が出現

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天の川の中心方向、いて座の領域に、今年4個目となる新星が発見された。

【2020年10月12日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

天の川銀河の中心方向に見えるいて座の中には、これまでに多数の新星が発見されています。今年に入ってからだけでもいて座の領域の中にはすでに3個の新星が発見されていましたが、10月2日に4個目の新たな新星が発見されました。

新星を発見したのはBrazilian Transient Search(BraTS)のグループで、10月2.980日(世界時、以下同。日本時では3日8時31分ごろ)に、口径28cmの望遠鏡で撮影した画像から11.1等の新天体を発見しました。この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  17h55m00.00s
赤緯 -21°22′40.1″(2000年分点)

確認観測画像
確認観測画像(撮影:清田誠一郎さん)

いて座の新星の位置
いて座の新星の位置。水色の矢印(3つ)は今年これまでに発見されていた新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

天体の分光観測は10月4.75日に南アフリカのSALT望遠鏡を用いて行われ、スペクトルにP Cygプロファイルを持つ水素のバルマー系列や中性酸素、一階電離した鉄、中性ナトリウムの輝線が見られることがわかりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が極大光度直前ごろの古典新星であることが判明しました。

VSOLJに報告された観測によると、この天体は10月5-6日ごろには10等級まで明るくなりました。