上田さん、ペルセウス座に新星を発見

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北海道の上田清二さんが11月25日、ペルセウス座に10等台の新星を発見した。

【2020年11月30日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

ペルセウス座の中に明るい新星が発見されました。新星を発見したのは北海道釧路市の上田清二さんです。

上田さんは11月25.807日(世界時、以下同。日本時では26日4時22分ごろ)に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いてペルセウス座を撮影した画像から、10.6等の新天体を発見しました。また、ロシアのKa-Dar天文台のS. Korotkiyさんたちのグループもこの天体を25.844日に独立に発見しました。

静岡県の金子静夫さんの観測によると、この天体は上田さんの発見の4.6時間前にはまだ14.9等より暗く、ごく短時間のうちに急激に明るくなったことがわかりました。

発見の報告を受けて、清田誠一郎さんや吉本勝己さん、佐野康男さん、野口敏秀さん、なよろ市立天文台など多数の観測者によって、この天体の確認観測が行われました。発見後の詳しい観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  04h29m18.85s
赤緯 +43°54′23.0″(2000年分点)

確認観測画像
確認観測画像(撮影:吉本さん)

ペルセウス座の新星の位置
ペルセウス座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

天体の分光観測は11月26.05日にU. Munariさんたちのグループによって行われ、スペクトルにはP Cygプロファイルを持つ水素のバルマー系列の輝線が見られることがわかりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が極大付近の古典新星であることが判明しました。

この新星は発見後も増光を続け、11月28日ごろには8.5等まで明るくなりました。11月29日の時点でもまだ8等台後半とそれほど暗くなっておらず、ここ数日は口径8cm程度の天体望遠鏡があれば眼視で見ることができると思われます。今後の明るさの変化などが注目されます。

上田さんはこれまでに金田宏さんとの共同観測で700個以上の小惑星を発見されてきましたが、新星の発見は初めてです。