水星探査機「ベピコロンボ」、2回目の金星フライバイ
【2021年8月12日 ヨーロッパ宇宙機関/JAXA宇宙科学研究所】
JAXAの水星磁気圏探査機「みお(MMO)」と、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の水星表面探査機「MPO」の2機からなる共同ミッション「ベピコロンボ」が、8月10日22時54分(日本時間、以下同)に2回目の金星フライバイを実施し、金星の地表へ552kmまで接近した。ベピコロンボは2018年10月20日に打ち上げられ、2020年4月10日に地球フライバイ、10月15日に1回目の金星フライバイを行っている。
金星から1万km以上離れていた1回目のフライバイに比べて、今回は非常に近い距離まで接近した。フライバイの主目的は金星の重力を利用して探査機の軌道を変更することだが、科学的観測成果を取得する大きなチャンスでもある。今回のフライバイでは、水星の磁気圏を観測するために設計された「みお」の機器も金星に向けられた。「金星のような非磁化惑星(固有の磁場をもたない惑星)とも太陽風は相互作用をするので、それを観測するチャンスです。系外惑星にも固有磁場を持たないものがあるでしょうから、そうした状況を考える上でも今回得られる知見は重要です」(JAXA宇宙科学研究所 村上豪さん)。
フライバイ中に「みお」は予定どおりに観測を行い、データを地球に送信した。また、初回の金星フライバイ時と同様に、金星探査機「あかつき」と惑星分光観測衛星「ひさき」と一緒に金星大気の同時観測も実施しており、その結果も解析予定だ。
今回のフライバイによって水星軌道へと舵を切ったベピコロンボは、今年10月を皮切りに6回の水星フライバイを実施し、2025年12月に水星へ到着する予定だ。その後「みお」と「MPO」が分離され、それぞれ水星周回軌道へ投入される。それまでの旅路においても、引き続き科学観測は続けられる見込みだ。
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