LE-7 2900mの海洋底から引き揚げへ

【2000年1月13日】

宇宙開発事業団海洋科学技術センターは11日、1999年12月24日に発見されたH−IIロケット8号機の第1段メインエンジン“LE-7”のエンジン本体を、太平洋の海洋底より回収すると発表した。

LE-7のエンジン本体は、“H-IIロケット8号機第1段ロケットの2次調査”にて発見された(前報参照)。それに続く“第3次調査”では、ノズルスカート等も発見され、マニピュレータとグラバにてLE-7の小型の部品14点の回収・引き揚げが行われている。

それに続く今回の調査では、いよいよLE-7エンジン本体を引き揚げることになった。引き上げには6000mまで深海作業可能な遠隔操作艇(Remotely Operated Vehicle)「Remora 6000」が用いられる。日本の遠隔操作艇は2000mの深度までしか深海作業できないため、引き揚げ作業には、アメリカのサルベージ会社「カツレフマリンサービス」所有の「Remora 6000」が選定された。

回収に際しては、「Remora 6000」によりLE-7のエンジンに回収索を取り付け(あるいは巻き付け)、ウインチにより引き揚げる方法が取られる。この方法により、LE-7エンジン本体・液体酸素ターボポンプ・ノズルスカートが引き揚げられる予定だ。回収作業は17日から行われる。

LE-7は1.7トンの重量がある。ノズルスカート等が外れているとしても、かなりの重量があることが予想される。3000m近いワイヤーだけでも相当の重さがあるであろう。果たして、深度約2900mの海洋底から1トンクラスのエンジンを引き揚げることは、どの程度困難な作業なのであろうか? 作業の状況を実際に見てみたいところである。

今回H−IIロケット8号機の打ち上げに失敗してしまった宇宙開発事業団であるが、その後の打ち上げ失敗の原因究明には、並々ならぬ意気込みが感じられる。今回の引き揚げにより、エンジン本体を直接調べることができるようになる。今後の原因究明作業が、H-IIに続くH-IIAシリーズに活かされることに期待したい。

参考: LE-7エンジンの回収計画について
- 「H-IIロケット8号機」の第1段ロケットの3次調査の終了について
- おしらせ 最新情報 運輸多目的衛星(MTSAT)/H-IIロケット8号機の打上げ宇宙開発事業団
  ・「H―IIロケット8号機」の第1段ロケットの3次調査の終了について
- プレスリリース海洋科学技術センター

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