太陽と同様のX線変動サイクルを持つ星を発見
【2004年5月14日 ESA News】
太陽のような恒星が太陽と同様に周期的なX線変動を起こしているのかどうかは長年の疑問だったが、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線観測衛星XMM-Newtonにより、太陽に似た恒星にもX線変動サイクルがあることが初めて明らかになった。
これは、われわれから90光年離れた、みずへび座にある星HD 81809について2年半観測を行った結果でわかったものだ。
太陽は11年周期で活動していることが知られており、黒点の数やX線の強度などが変動する。他の恒星についても、黒点数のサイクルの存在については、1950年代に観測が開始されて以来知られてきた。しかし、X線の強度については、黒点数の増減と関連して変動するのかどうかはわかっていなかったのである。今回の結果により、太陽だけでなく他の恒星でも太陽と同様の変動周期が存在していることがわかったということだ。
太陽の活動サイクルは、われわれの地球に影響を及ぼす点でも興味深い。特に、高いエネルギーの放射は、気候に多大な影響を及ぼす。たとえば、18世紀に太陽の活動サイクルが一時的に途切れた時期(太陽の活動を示す黒点がほとんど見られなかった時期)は、地球では例外的な寒さに見舞われた時期と重なっている。これ以外にも、初期の恒星の高エネルギーは、大気など、ひいては生命にも潜在的に影響を及ぼしているのだ。
このような活動サイクルが太陽だけでなく他の恒星で観測されたことで、恒星や惑星系の進化についても新たなことがわかってくると期待される。XMM-Newton X線観測衛星によるHD 81809やその他の恒星の観測は、今度も続けられる予定だ。X線強度の大きな変動が他の星でも起きているのかどうかが探られ、観測と研究が進むことで、われわれの太陽の過去や未来も明らかにされていくだろう。
なお、リリース元では、時速800万キロメートルのスピードをもつ太陽の激しいX線フレアの動画を見ることができる。