NASAの有人月探査計画は国際協力体制で 月面基地建設も
【2006年12月5日 NASA News】
NASAは4日(現地時間)、アポロ計画以来となる有人月探査の構想を発表した。14の国や地域の宇宙機関が計画に参加すること、月の極地方に月面基地を建設することが明かされた。
アポロ計画は東西冷戦の産物だったともいえるが、NASAによる次期有人月探査計画の鍵を握るのは国際協力体制となりそうだ。
月探査の長期戦略構想には、NASAに加えて13の国や地域(豪・カナダ・中・欧・仏・独・英・印・伊・日・露・韓・ウクライナ)の宇宙機関が参加している。非政府組織や企業も加えた1000人以上の体制で、今年の4月から議論が始まっていた。
「なぜ月へ戻るのか」、「月へ行って何をするのか」。こうした根本的な問いかけに答えることから戦略は始まっている。有人および無人探査へ投資する意義を示すことで、米国議会のを支持を得なければならない。もっとも重要な結論の1つが、月面基地を建設することだった。
太陽光から電気を供給する月面基地は、月の北極か南極付近に建設される予定。準備のために無人探査を行ってから2020年までに着工し、4人の宇宙飛行士による7日間の滞在を繰り返すことで完成させる。基地の存在は月面における資源調査に大きく貢献すると期待されるが、以前からNASAが明かしているように、月面滞在は有人火星探査への布石でもある。基地の完成後は、180日におよぶミッションを繰り返して火星への旅に備える。
来年以降も各国が参加して構想の練り直しが続けられる予定だ。NASAは、宇宙開発に向けて持続可能な努力が続けられ、それによって参加した国や機関がそれぞれ利益を得ることが目標だとしている。