西村さんがいて座に銀河系内の新星を発見

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【2011年1月31日 VSOLJニュース(264)】2月7日更新

静岡県の西村栄男さんが1月25日、いて座に銀河系内の新星を発見した。銀河系内の新星発見は今年初となる。


VSOLJニュースより(264)

著者:前原裕之さん(京都大学花山天文台)

発見されたいて座の新星

発見されたいて座の新星。クリックで拡大(提供:遊佐徹さん)

いて座やさそり座、へびつかい座などは私たちの銀河系の中心方向に見える星座で、これまでに多数の新星が発見されています。毎年1月中旬〜下旬にかけて、夜明け前の東の空に夏の天の川が見えるようになると、新星発見のシーズンが始まります。2011年最初の銀河系内新星がいて座の東に発見されました。発見したのは、静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さんで、これまでにも多数の新星を発見されているベテランの天体捜索者です。

西村さんは、1月25.86日(世界時)に200mmレンズとデジタルカメラで撮影した画像から、11.2等の新天体を発見されました。また、西村さんは、この天体が昨年撮影した画像には12.5等より暗く写っていなかったものの、今年1月17日と24日に撮影した画像にはそれぞれ11.5等で写っていたことも報告されています。

この天体は清田誠一郎さん(茨城県)、遊佐徹さん(宮城県)、門田健一さん(埼玉県)によって存在が確認されました。遊佐さんは30cm望遠鏡によって撮影した画像から測定したこの天体の位置を次のように報告されています。

  赤経  17時47分46.22秒
  赤緯 -23度35分13.7 秒 (2000年分点)
  いて座の新星周辺の星図

この天体の分光観測は、1月29日早朝に京都産業大学の神山(こうやま)天文台の1.3m荒木望遠鏡と、岡山理科大学の28cm望遠鏡でそれぞれ行われました。

得られたスペクトルには水素のHαとHβ輝線、酸素の輝線がみられることから、この天体は極大を過ぎた古典新星であることが判明しました。また、この天体は赤い色をしていることが分光観測や測光観測から指摘されており、銀河系内のガスやちりによる吸収を強く受けているものと思われます。今後の光度やスペクトルの変化の様子が注目されます。

その他の新星やスペクトルの画像は下記〈参照〉リンクをご覧ください。

(2月7日追記分)

2月5日付けで、GCVS(変光星総合カタログ)チームにより変光星名「V5587 Sgr」が付与されました。


いて座の新星の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。

〈参照〉

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