ALMA日本製7mアンテナが観測所に引き渡し 山頂施設へ

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【2011年5月20日 アルマ望遠鏡

5月2日、南米チリのALMA望遠鏡計画で使用される日本製の7mアンテナ12台のうち1つめが観測所に引き渡された。日本の12mアンテナ4台はすでに引き渡しが完了しており、これから7mアンテナの引き渡しが本格的に進むことになる。


(移動中の7mアンテナの画像)

移動中の7mアンテナ。クリックで拡大(撮影:山田真澄)

(山麓施設に移設された7mアンテナの画像)

山麓施設に移設された7mアンテナ。クリックで拡大(撮影:齋藤正雄)

ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)望遠鏡計画は東アジア・北米・ヨーロッパ・チリが協力して進めている国際プロジェクトで、チリ・アタカマ高原に66台(12mアンテナが54台、7mアンテナが12台)のアンテナを設置し1つの超高性能な電波望遠鏡として運用する計画である。

日本は12mアンテナを4台、7mアンテナを12台担当しており、今回この7mアンテナが初めて山麓施設へと引き渡された。今後ALMA観測所スタッフによる試験を行い、標高5000mの山頂施設へと運ばれて科学観測を始めることとなる。

アルマ望遠鏡は66台の望遠鏡を1つに結合することで1つの巨大な望遠鏡として機能することを目指している。展開するアンテナ同士の距離を広げれば広げるほどより細かい構造を見ることができるが、逆にぼんやりと広がった雲のような天体を見ることが難しくなる。広がった天体を観測するにはアンテナ同士の距離を近づければ良いが、近づきすぎるとぶつかってしまうため、12mのアンテナだけではその距離に限界がある。そこでもっと小さい7mのアンテナを使うことでアンテナ同士の距離を近づけ、広がった天体についても高精度な観測を行うことができるようになる。

また12mアンテナは単独でも1つの電波望遠鏡として機能させることができるため、12mアンテナ1つでの電波望遠鏡、複数の12mアンテナを組み合わせた細かい構造を見る電波望遠鏡、12mアンテナと7mアンテナを組み合わせた広がった天体を見る電波望遠鏡、この3種類を目的に応じて使い分けることで、強力な電波望遠鏡となることができる。

2008年12月に初めて日本の12mアンテナがALMA観測所に引き渡されて以来、既に東アジアや北米で製作された10台のアンテナが山頂に運ばれている(2011年3月25日現在)。